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Dies irae~Apocalypsis serpens~(旧:影は黄金の腹心で水銀の親友)
閑話 死者(四者)は何を夢想するのか
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【カリグラ】

元々カリグラの基となった俺という人物は親衛隊髑髏部隊の一人だった。餓鬼の頃から親父は居なくて、お袋は酒や薬(ダウナー系の依存性の低いものだったが)に溺れて娼婦をやっていた。お袋は俺のことを育てることは殆ど無く、俺の世話をしてくれたのは母方の伯父とお袋の職場の他の娼婦だった。
娼婦には学自体は無くとも世渡りの知恵というものが有り、そういった事を細やかに教え込んでくれた。
一方で伯父の方は直接的な金銭面での手助けをしてくれた。尤も伯父は俺の事を嫌っており、俺みたいな餓鬼の為というよりもお袋の為に仕方なくといった様子だったが。
そんな俺が親衛隊髑髏部隊に入れたのは運が良かったとしか言いようが無い。来るべき大戦の為に多くの兵士を登用していたのも理由の一つといえるだろう。

******

戦争が始まり本来なら役職上の都合で戦線に立つことは早々無いものであったが、戦局が傾きだし、持ち直した赤軍とそれに乗じて反撃を繰り出してきたイギリスを主軸に据えた連合軍によって、そして何より拡大しすぎた戦線によって本来なら後方の人間である俺も戦場へと立たされたのだった。
別段、憤りなどと言ったものは無く、むしろ武功を立てると言う意味で俺は意気込んでいた。戦いは一進一退の攻防を見せたものだ。勝つときもあれば負けて撤退するときもあった。
だがそんなことよりも俺を苛立たせたのは俺の考えていた以上に人間というものが屑だったことにだった。たかが生まれで優劣を決める考えも、戦争だからといって何もかも虐殺するかのように殺すその精神性も、泣き叫ぶ母娘を陵辱する畜生のような生き方も何もかも気に入らなかった。
そして、それは敵も味方も関係なかった。赤軍も連合軍も同盟国の軍隊も自分達を誇りある存在などと勘違いしたドイツ人でもそうだった。

「俺は違う。あんな屑みたいな輩とは俺は違うんだ」

悪態を吐きながら俺はまるで獣と変わらない、いや獣以下の屑どもを見下だしていた。餓鬼の頃から屑みたいな両親のせいでそういった相手を俺は嫌っていた。
当然、俺のそんな態度が気に入らない奴等もいたが俺はそんな奴等を全部無視していた。だが、だからこそなのか俺に絡んでくる奴はかなり多かった。

「なあ何生意気にこっち無視してんだよ。少しは先輩の顔を立てるぐらいのことはし―――グバァッ!?」

「テメエ!?」「ヤロウってのか!」

だからこういった輩が来るたびに殴り飛ばしてやった。相手は大概三人、多くても五、六人だ。余程の相手が居ない限り最初にリーダー格の奴を殴り倒せば大概何とかなった。
しかし部隊長はそういった行動を取る俺の扱いに困ったらしい。だから俺は単独任務での戦いが自然と多くなった。別に気にするほどの事じゃない。
単独であっても大概戦場ではどいつもこいつもバ
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