第五十九話 囚われの心、叫ぶ時
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「俺には自分のようになるなと」
そうだというのである。
「思っていた筈だ」
「破滅するなということだね」
「己が見えないと時に破滅する」
レイは言った。
「それが世界や他の者の災厄となる場合は」
「そしてシャピロ=キーツも」
「間違いない」
レイの言葉は確信だった。
「間も無く破滅する」
「そうなるね、いよいよ」
「ラウにとって死は救いでもあった」
レイはまたクルーゼのことを話した。
「その証拠にラウの最期の顔は」
「覚えているんだね」
「わかる。もう一人の俺だったから」
それでだというのだ。
「よくわかる」
「そうだったんだ」
「ラウが今までした中で最も安らかな顔だった」
「そして旅立てた」
「しかしあの男は」
「そうはならないね」
「なる筈がない」
レイはシャピロについては突き放していた。冷たくすらある。
「待っているのは裏切りだけだ」
「裏切り?」
「裏切りって?」
ここで他の面々がレイに問う。
「何に裏切られるの?」
「一体どういうことだよ、それって」
「まずは人だ」
レイは最初はそれだというのだ。
「そして夢にだ」
「夢にもって」
「やっぱり神にはなれないか」
「そうだと思ったけれど」
「自分自身にもだ」
レイはまた述べた。
「全てに裏切られ死んでいく」
「惨めだな、そりゃまた」
バサラがここまで聞いて話した。
「全てに裏切られるなんてな」
しかし自業自得だ」
レイの言葉はやはり冷たい。
「あの男はそれからそうしたことを味わうことになる」
「へっ、そんなのどうでもいいぜ」
忍がここで言った。
「シャピロは俺が潰す」
「忍さんがか」
「それじゃあ」
「ここは任せますね」
「忍さんに」
「ああ、任せろ」
忍は強い声で皆に応えた。
「あいつは今度こそ俺が倒す」
「じゃああいつが出て来たらその時は」
「一気に倒すか」
「今度こそな」
「本当に」
こう話してだった。敵を待つのだった。そしてだ。その次の日だった。
「レーダーに反応です」
「ああ、来たか」
「やっぱりな」
「それで相手は」
「どの軍ですか?」
皆で報告したミドリに問うた。
「やっぱりあれですか?ムゲ帝国軍ですか?」
「連中か?」
「はい、そうです」
その通りだった。彼等だった。
「ムゲ帝国軍です。数は五十万です」
「五十万か」
「少ない?」
「そうだよな」
既に彼等にとっては数はそれだけのものだった。
「どうせそれだけでいいと思ってだろうな」
「傲慢な奴だからな。そうだろうな」
「そうよね。あいつの考えそうなことだし」
「それなら」
皆で話してだった。そのうえでそのムゲ帝国軍への迎撃に入る。そして彼
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ