第五十七話 アナタノオト
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アルトに言うのであった。
「今から心臓を撃ち抜く」
「そして俺もまた」
「そうだ、行くぞ」
「俺もまた今」
「撃て」
アルトに告げた。そのうえでトリガーを引いた。
アルトもだ。今目の前にいるグレイスに対してビームを放ったのだった。
「行けーーーーーーーーーーーーっ!!」
「おのれ、私はまだ」
しかしだった。グレイスはその最後の瞬間でも諦めてなかった。そのうえで何とか生き残ろうとする。
だがそれは叶わずだ。本体もバジュラを操っている身体もだ。どちらも射抜かれてしまったのだった。
「終わりだ!」
「これで全てな」
アルトとキリコが同時に告げた。
「貴様は所詮だ!」
「何もわかっていなかった」
「何故、この私が」
「御前はバジュラを利用しようとしていただけだ」
「己の為だけにな」
「私が。この私が導いてこそ」
グレイスはその断末魔の中で話した。
「人類は正しい繁栄を迎えるというのに」
「生憎だが人は一人だ」
その彼女にブレラが告げた。
「そして一人だからこそだ」
「どうだというの、その一人だからこそ」
「その別の人間を愛せるのだ」
「愛、戯言ね」
グレイスにとってはだった。
「所詮そんなものを信じるから人は」
「御前はその愛に破れたんだ」
アルトがまた告げた。
「俺達が誰かを想う気持ちにな」
「そんな筈がないわ。私はまだ」
「無駄だ、御前はもう終わりだ!」
アルトの言葉は叫びになっていた。
「それで立てるとというのならもう一度俺が倒してやる!」
「なら。私は」
もう一度戦おうとするがそれでもだった。
動けない。そうして。
崩れ落ちていく。その彼女にシェリルが告げた。
「グレイス、貴女は」
「シェリル、まさか病気は」
「そうよ、克服できたわ」
その証拠に毅然として立っている彼女だった。
「私がバジュラを受け入れたことでね」
「そんなこと、有り得る筈が」
「あるわ。貴女は愛を否定したけれど」
「そうよ。そんなものは」
「あるわ。私も、そしてバジュラ達の間にも」
「バジュラにも・・・・・・」
「それがわかったから私は病を克服できた」
そうだというのである。
「そういうことよ」
「くっ、神に見限られても生きているなんて」
「貴女は神じゃないわ」
そのシェリルがまた告げた。
「只の人よ」
「この私を。そう言うとは」
「貴女に見出されたことは感謝するわ」
それはだと返す。
「だから」
「だから・・・・・・」
「さようなら」
こう告げてだ。シェリルの言葉は終わった。
その言葉を受けたグレイスは炎の中に包まれた。その最後の言葉は。
「私は。私こそがこの宇宙を・・・・・・」
その言葉と共に消えたのだった。後に
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