第五十五話 トゥルー=ビギン
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らに話す。
「あの二人を見てな。それでだ」
「変わったのだな」
「変わった。そしてだ」
「そしてか」
「そうだ、ランカは」
ランカのことも話した。
「あいつは今バジュラと共にいる」
「はい」
ルカが彼のその言葉に頷いた。
「そして今」
「若しだ」
アルトはルカに応える形でさらに話した。
「若しあいつがバジュラに利用されるのなら」
「その時は一体」
「どうするんですか?」
ミシェルとルカが彼に問う。
「御前は」
「まさかと思いますけれど」
「いや、そのまさかだ」
アルトは毅然として言った。
「俺はランカを殺す」
「しかしそれは」
「先輩にとって」
「それでもだ」
アルトの言葉は変わらない。
「その時はだ」
「そうなのか」
クランは俯いて彼の話を聞いた。そうしてだった。
「それがなのだな」
「ああ」
「それが御前の愛なのだな」
「そうかもな」
アルトはこのことを否定しなかった。
「それでも俺は戦う」
「俺は」
「僕は」
ミシェルとルカはそれぞれの愛とここで見合った。
「その為にな」
「戦うんですね」
「そうだな。だからこそ残ったのだからな」
そしてクランもだった。
「このフロンティアに」
「生きるか死ぬかの戦いなのはいつもだけれどな」
アルトはまた言った。
「けれど今度の戦いは」
「そうだな」
「本当に」
そんな話をする四人だった。そして。
シェリルはその話を陰で聞いていた。そうしてだった。
「わかっていたけれどね」
こう呟いてサングラスをかけてだった。その場を後にしたのであった。
全てがまたはじまろうとしていた。それは決して終わりではなかった。
第五十五話 完
2010・9・6
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