第五十三話 ノーザン=クロス
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るんですよ!」
慎悟は彼にしては珍しく強い言葉を出した。
「ですからもうここから」
「出て、それで私達と一緒に」
「行かないわ」
「何を言われてもね」
しかし二人の無機質な言葉は変わらない。
「ここに残って戦う」
「そうするよ」
「まさか」
そんな二人を見てだ。卯兎美はあることを察した。
「二人共オニクスに」
「えっ、オニクスに」
「何かあるんですか!?」
「聞いたことがあります。オニクスはギガンティックの中でもとりわけ性能が高いですね」
「ええ」
「確かに」
「そしてその高性能故にです」
その話が続く。
「乗っているパイロットにかなりの負担を抱えそして取り込んでしまうと」
「じゃあ二人は」
「そのオニクスに」
「まだ確証はありませんが」
それでもだ。彼女は察していた。
「それでもです」
「じゃあ今の二人は」
「説得は」
「残念ですが」
それは無理だというのだった。
「仕方ありません。それに」
「それに?」
「今度は一体」
「見て下さい」
ここでだった。卯兎美の腕時計から警報が鳴っていた。
「あらかじめ進路に警報機を仕掛けておいたんですけれど」
「じゃあここに」
「追っ手が」
「おそらくレオン三島補佐官の」
卯兎美はこのことも察していた。
「それで間違いありません」
「わかったわ。それじゃあ」
それを聞いてだ。真名はすぐに動いた。
今着ている高校の制服を肩に手をかけて一気に脱ぐ。すると忍者のそれを思わせるレオタードとストッキングの姿になったのだった。
「二人共私から離れないでね」
「えっ、真名さん」
「その姿は」
「私はこうした意味でも慎悟君のパートナーなの」
こう言うのである。背中には刀がある。
「守るわ。何があっても」
「それじゃあ僕達は」
「今すぐここからですね」
「仕方ないわ」
まだ目の前にいる妹達を残念な目で見ながら述べた。
「また。機会があれば」
「わかりました」
「それしかありませんね」
「行きましょう」
また言う真名だった。
「それじゃあね」
「はい」
こうしてだった。三人は止むを得なく神名達の前から去った。そうしてそのうえでロンド=ベルの艦隊のところへ向かう。だが地上に出たところでレオンの手勢に囲まれたのであった。
四方八方にいる。突破するのは容易ではなさそうだった。
真名は背中の刀に手をかけた。それで後ろの二人に告げる。
「私が請け負うから二人はその間に」
「いえ、僕も戦います」
「私もです」
しかし二人は銃を出して留まる態度を見せた。
「真名さんだけ戦わせません」
「絶対に」
「けれどそれは」
「パートナーじゃないですか」
「仲間ですよ」
二人はここで微笑んで
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