第五十三話 ノーザン=クロス
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呼んだ。そのうえでだった。
「今からは」
「うん、やるべきことは多い」
レオンは笑みを消して彼の言葉に応えた。
「まずはだな」
「非常事態宣言ですね」
「最高のな。そしてだ」
「はい、そして」
「彼等もだな」
目を光らせての言葉だった。
「来てもらうとしよう」
「そうしてそのうえで」
「バジュラを倒し新天地を手に入れる」
こう言うのだった。
「そうするとしよう」
「それではグレイス氏は」
「終わりだ」
返答はこれだけだった。
「それで頼む」
「わかりました、それでは」
「そしてランカ=リーの代わりだが」
それについても話す彼だった。
「いるか」
「彼女しかいませんが」
これが美知島の返答だった。
「最早」
「そうか、やはりな」
「あの混乱の中で小さな事務所に入りそのうえで街で歌っているそうです」
「ほう、そうなのか」
「今テレビにも出ています」
ここでテレビの電源を入れるとだ。シェリルがいた。
かつての様に歌っている。だがその雰囲気はだ。前とは違っていた。
レオンはその彼女を見てだ。興味深そうに言うのであった。
「ふむ、いいな」
「ではやはり彼女ですね」
「データも見た。やはり彼女しかない」
「はい、それでは」
「全ては決まりだ」
今度も素っ気無い言葉ではあった。
「駒は揃った。後はそれを動かすだけだ」
「はっ」
美知島はレオンに対して敬礼をした。そうしてであった。
シェリルは夜にはある場所に戻っていた。アルトもそこに入るのだった。
だがここでだ。兄弟子である早乙女矢三郎がいた。穏やかな目に淡い茶色の髪の好青年であった。和服が実によく似合っている。
彼はアルトを見てだ。そのうえで彼に言うのであった。
「ようこそ」
「・・・・・・いたのかよ、兄さん」
「戻って来られて何よりです」
こう言うのであった。
「本当に」
「・・・・・・そうなのかよ」
「一度は私達と決別して地球に残られたというのに」
「何で宇宙で出会ったのかって思ったさ」
「ですがそれが運命なのです」
矢三郎はアルトを見たまま話す。
「貴方の」
「運命か」
「話は聞いています。異なる世界にも行かれたそうですね」
「ああ」
「そちらの世界でも戦われこちらの世界でも」
「ずっと戦ってきた」
アルトの返す言葉はこうしたものだった。
「だから俺は」
「いえ、貴方は役者です」
ここで矢三郎の目が確かなものになった。
「あの一つの場で全てを支配する恍惚は御存知の筈です」
「しかしそれは」
「貴方は必ず歌舞伎を変えられる役者になります」
アルトのその才を知っての言葉である。
「ですから。ここに戻って来られたのです」
「けれど今は」
「今
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