第五十二話 ダイアモンド=クレバス
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第五十二話 ダイアモンド=クレバス
レオンはだ。不敵なままオズマとキャサリンに対していた。己の席から身動き一つしない。まさに余裕そのものと言ってもいい態度であった。
「さて、これからはだ」
「まさか、貴様」
「既に」
「その通りだ。さて」
ここでだ。彼はキャサリンを見て告げた。
「キャサリン、残念だが」
「何だっていうのよ」
「婚約は解消だ」
こう彼女に告げたのである。
「今それを告げよう」
「そんなのこっちからお断りよ!」
キャサリンも怒った顔で彼に返した。
「誰が、もう」
「久し振りにかつての恋人と会って気持ちが変わったか」
「そうね」
キャサリンはそのことを否定しなかった。
「実際にそうなるわね」
「そうか、やはりな」
「一回別れてそれで再会して会ったのよ」
そうだというのだった。
「彼のよさがね」
「やれやれ。愁傷だな」
「愁傷じゃないわ。わかったのよ」
「何がだね?」
「私の本当の心がよ」
こうレオンに告げる。
「そして貴方という人間もね」
「私もか」
「貴方は。女一人手に入れられない男よ」
それがレオンだというのだ。
「そして何もかもを手に入れられないわ」
「馬鹿なことを。私はフロンティアを正しく導く」
「そうできると思っているのだな」
「如何にも」
倣岸そのものの口調でオズマにも返す。
「それは私しかいない」
「そう思っているのなら自分だけそう思っていろ」
オズマの彼への言葉は冷たかった。
「そうな」
「凡人にはわからないことだ、私の崇高な理想と目指す場所がだ」
「聞いたわね、オズマ」
「ああ」
二人はここで態度を少し変えた。
「そうしたことを言ってね」
「何かを為した者なぞ一人もいない」
「私は違うのだがな」
やはりであった。レオンはわかっていなかった。
「それを今言っても仕方ないか」
「貴方と。そして美知島中将」
「即刻裁判所に来てもらおうか」
「そうはいかないと言った筈だ」
レオンの今の言葉と共にであった。部屋の中に兵士達が雪崩れ込んできた。見ればどの兵士もその手に銃を持ち武装している。
「なっ」
「兵士が。ここに」
「私には同志がいると言ったのは君達だが」
レオンは二人がその兵士達に囲まれるのを見ながらまた告げた。
「そう、それは」
「美知島中将か」
「彼が」
「そうだ」
そしてだった。ここでその美知島が部屋に入って来た。兵士達を連れて悠然と部屋に入って来てだ。二人の前に来たのだった。
「私がいることを忘れた筈ではないがな」
「ここにまで来るとはな」
「意外だったわ」
「君達の動きは全て監視していた」
その美知島の言葉だ。
「だからだ。ここに来たのだ
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