第五十二話 ダイアモンド=クレバス
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見ればだ。カプセルにもう一機の青いバルキリーがいた。紛れもなくマックスのものだった。
「危ないと思って来たけれどね」
「その通りだったわね」
ミリアの赤いバルキリーもだった。
「けれどこれでね」
「何とか助かったわね」
「折角の見せ場だったんですがね」
ミシェルはその二人に軽口で返した。
「お株を奪われちゃいましたね」
「あれっ、そうかな」
「その心は見せてもらったけれど」
二人もそのミシェルに軽口で返す。
「それで充分だよ」
「それよりもミシェル」
ミリアが彼に声をかける。
「怪我の方は?」
「そんなのは・・・・・・ぐっ」
しかしであった。ここで彼は呻き声をあげた。背中から血が流れていた。
「何ともないぜ」
「いや、それは信じられないね」
「傷は深いわね」
二人にはもうわかっていることだった。
「無理は禁物だよ」
「ここは下がって」
「撤退は」
「じゃあそこから動かないことだ」
「私達が行くから」
「ミシェル、大丈夫か!?」
「先輩!」
ここでアルトとルカも来た。
「こっちは何とか倒した!」
「傷の方は」
「どうやら休めってことらしいな」
ここで遂に観念したミシェルだった。
「今の俺は」
「そういうことだよ。よくやったよ」
「好きな相手の為にね」
「それは俺が言おうと思っていた台詞なんですがね」
苦笑いでミリアに返した。
「アルトとルカに」
「えっ、僕もですか!?」
「ナナセちゃん大事にしなよ」
そのルカに微笑んで告げた。
「いい娘だしな」
「まさか。そのことまで」
「そうさ。大事にしなよ」
また言うミシェルだった。
「俺はちょっと戦線離脱になるからな」
「よし、ミシェル」
ここでクランがカプセルから出て来た。
「済まない、後は任せてくれ」
「ああ」
「そしてだ」
すぐにメルトランディ軍専用の機体に乗り込みながらまたミシェルに言う。
「御前の言葉だが」
「それか」
「確かに受け取った」
こう言うのであった。
「そういうことだ」
「そうか」
「とりあえず今は撤退してくれ」
クランも彼にこう告げた。
「それ以上の戦闘は命にかかわる」
「かもな、これはな」
「御前に死なれたら困る」
心から心配する言葉だった。
「だからだ。下がってくれ」
「ああ、わかった」
ミシェルはクランの言葉に最も従順だった。
「それじゃあな」
「うむ、それではな」
こうしてミシェルは戦線を離脱した。彼はそのまま入院することになった。戦闘はさらに続く。そしてその中でだった。
アルトがだ。バルキリーからあの歌声を聴いた。
「何っ、これは」
「はい、間違いありません」
ルカが彼に応える。
「ランカさん
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