第四十八話 崩れ落ちる邪悪の塔
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第四十八話 崩れ落ちる邪悪の塔
ロンド=ベルはハイネル、リヒテルと共にボアザンに向かう。その途中はだ。
「迎撃はないな」
「そうね」
「一度も」
それは全くなかったのである。そしてだ。
ここでもだ。彼等を迎える者達がいた。
「来たぞ!」
「ロンド=ベルだ!」
「遂に来たぞ!」
ボアザンの市民達だった。軍もいた。
「それでは我等も!」
「ああ、行こう。祖国の為に!」
「ボアザンの為に!」
「立ったか」
ハイネルがその彼等を見て言った。
「ボアザンの者達もまた」
「キャンベル星と同じだな」
剛博士がそれを見て言った。
「ここでもまた」
「ええ、そうね」
妻が夫のその言葉に頷いた。
「皆が立ち上がったのね」
「自分の手で掴み取らなければ何にもなりはしない」
博士はまた話した。
「そう、自由も全ても」
「俺達はその力添えでしかないんだな」
それはよくわかっている健一だった。
「この人達の。立ち上がった人達の」
「そういうことだ。よいか健一」
ハイネルが弟に告げる。
「ズ=ザンバジルを見よ」
「あの皇帝を」
「それでわかる筈だ」
彼はゴードルの中から話していた。
「真とは何かをな」
「真が」
「逆の意味でだ。それを見ることになるだろう」
こう話すのだった。
「わかったな。それではだ」
「よし、じゃあ見せてもらう」
健一も兄のその言葉に返す。
「その真を」
「女帝ジャネラも醜かったけれど」
ふと言ったのはちずるだった。
「あの皇帝もなのね」
「そうね。それは間違いないと思うわ」
めぐみは彼女のその言葉に頷いた。
「あの皇帝も同じでしょうから」
「その通りだ。その醜さも見ることだ」
その通りだと返すハイネルだった。
「余は既に覚悟はできている」
「へっ、もうその醜さには慣れてるぜ」
豹馬は少し虚勢を張っていた。
「もうな。覚悟して行くぜ」
「そうだな。この戦いは醜さを見る為の戦いでもあるんだ」
一矢も覚悟している顔だった。
「人間の」
「そうだったな。人間だな」
今のはリヒテルの言葉だ。
「我々は同じ人間だったな」
「生物学的にもそうなっている」
ヴィレッタがこのことについて話した。
「確かに角や翼があってもだ」
「それでもだな」
「そうだ。同じ人間から進化している」
そうだというのである。
「そうした意味でだ。宇宙にいる人間は同じなのだ」
「それがわかっていない奴もいる」
「そういうことだな」
一矢と健一が話した。
「ボアザンでもまたそれは同じだな」
「そうした人間が醜さを晒すんだな」
「あっ、そういえばですけれど」
ラトゥーニが言ってきた。
「ハザル=ゴッツォも
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