第四十八話 崩れ落ちる邪悪の塔
[7/10]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
!」
ハイネルがまた告げてきた。
「これよりボアザンは貴族制を廃止する」
「貴族制を」
「だから角を」
「しかし」
だが中にはだ。それでも疑問を口にする者がいた。
「何故右の角だけを切った?」
「左は残して」
「それは何故だ」
「正しきボアザン貴族の心」
だがハイネルは言うのだった。
「それは忘れてはならん」
「正しきボアザン貴族主義の心」
「それをだというのか」
「そうだ!」
まさにそうだというのだった。
「それを忘れない為にも。余波は左の角は置く!」
「そうか」
健一もここで全てがわかった。
「兄さんはその為に左の角を」
「ハイネル、それでだな」
剛博士も言った。
「だから御前は右の角だけを」
「誓おう、余はこのボアザンを正しく導く!」
ハイネルの言葉は続く。
「階級を廃し誇りを忘れずにだ。導こう!」
「ハイネル様!」
「それでは!」
その言葉を聞いてだ。ボアザンの者達も喜びの声をあげる。
「今こそ我等の真の主に!」
「その御心と共に!」
「そうだ、来るのだ!」
ハイネルも彼等のその言葉に応える。
「正しきボアザンの為に!」
「ボアザン万歳!」
「ハイネル様万歳!」
ボアザンの者達は次々に讃える言葉を口にした。
こうしてボアザンでも戦いは終わった。ハイネルはボアザンの新しい皇帝となりこの星を導くことが決まった。そうしてであった。
「それではな、健一よ」
「ああ、兄さん」
当然ハイネルはボアザンに残った。そうしてだった。
ロンド=ベルの者達はまた旅に出ることになった。必然的に別れることになった。
だがその別れの場ではだ。誰もが明るい顔のままであった。
「また会おう」
「健闘を祈る」
両者は互いに微笑み合いながら話をしていた。
「次にボアザンに来る時はだ」
「楽しみにしているよ」
健一はこう兄に告げた。
「正しい姿に生まれ変わったこの星を見ることを」
「そうしてもらいたい。ではリヒテルよ」
「うむ」
ハイネルは今度は盟友に顔を向けた。相手もそれに応える。
「余もこれで一旦火星に戻る」
「そうするのだな」
「そしてだ」
さらに言うリヒテルだった。
「バームの者達をだ」
「導くのだな」
「それが余の役目だからな。また会おう」
「そうだな。我等は長い間道を誤っていた」
「だがそれも終わった」
二人は互いに話していく。
「これからはだ。それぞれの民達と共に生きよう」
「そうしよう。互いにな」
「ではさらばだ」
ハイネルの方から言った。
「また会おう」
「うむ、その時を楽しみにしている」
こう言葉を交えさせてだった。両者は別れた。リヒテルも火星に向かった。こうしてロンド=ベルは再び旅に出
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ