第四十六話 もう一つの母星ボアザン
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
を犯し過ぎた」
「余もだ」
リヒテルも言った。
「その余がだ。何故ボアザンに戻れる」
「バームの者達にどうして顔を向けられようか」
「難しい話だな」
ガムリンは二人のその心がよくわかった。
「二人にとっては。過去のことは」
「ボアザンは他の者によって導かれる筈だ」
「ハレックがいる、御前とエリカもいる」
二人はあくまでこう言う。
「余がいる必要はないではないか」
「それは違うのか」
「違う!」
「そんなことはない!」
健一も一矢もまた言った。
「兄さんがいなければボアザンは」
「バームの人達はどうなるんだ!」
「忘れたのか、健一よ!」
「竜崎一矢よ、あの戦いのことを!」
二人の言葉が荒いものになった。
「御前と余はかつてどれだけ剣を交えた」
「余は一体どれだけの血を流させた!」
「うっ・・・・・・」
「しかし。それでも」
「話はそれまでだ」
「もう話すことはない」
二人は相手がそれぞれ口ごもったところで強引に話を終わらせた。
「いいな、それではだ」
「また会おう」
「兄さん、待つんだ!」
「リヒテル、話はまだある!」
「余にはない」
「これ以上はだ」
やはり二人は話を聞こうとしない。そうしてだった。
「ボアザンを頼んだ」
「いいな」
「何故だ、どうしてわからないんだ」
「リヒテル、御前がいなければバームはどうなるんだ」
しかし二人はそのまま消えた。話を聞こうとはしなかった。
そうしてだった。戦場にはロンド=ベルだけが残った。彼等はだ。
「ボアザンに向かおう」
「そうだな」
「ここはだ」
こうそれぞれ話してであった。再び進撃をはじめようとする。
だがその中でだ。健一も一矢も浮かない顔をしていた。
その彼等にだ。万丈が声をかけた。
「行こうか」
「あっ、ああ」
「そうだな」
「まずはボアザンを解放しよう」
あえて微笑んで二人に告げたのだった。
「それでいいかな」
「わかっている。勿論な」
「俺達の目的の一つだからな」
「それならいいよ。行こう」
万丈はまた二人に告げた。
「ボアザンにね」
「それでは諸君」
シナプスが指示を出した。
「ボアザンに進路を戻す」
「了解です」
「それでは」
こうして彼等はボアザンに進路を取った。だがその心にはだ。釈然としないものが残っていた。それはどうしても消せないものだった。
第四十六話 完
2010・8・9
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ