第四幕その二
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はその客人達を見て思わず喜びの声をあげた。見れば彼女と競演したあの俳優達である。
まず高官と庶民が前に出た。そしてアドリアーナの前で跪きその手に接吻した。
「これはお見舞いの言葉に替えて」
「有り難うございます。けれど何故言葉を替えましたの?」
「それは貴女のお誕生日をお祝いに来たからです」
姫君と女神がそう言って微笑んだ。
「そうです」
男優達も立ち上がって言った。
「まさかご自身のお誕生日を忘れてしまったわけではないでしょう?」
「いえ、完全に忘れていました」
アドリアーナは嬉しさと寂しさ、そして哀しさを混じえた笑顔で言った。
「それは残念。これでも召し上がって思い出して下さい」
女神はそう言うと持っていた紙袋を手渡した。
「ボンボンです。お好きでしょ」
「は、はい」
アドリアーナはそれを受け取った。姫君は箱入りの包みを手渡した。
「これはレースよ」
「私はこれを」
高官は大きな金のメダルを手渡した。
「僕はこれを」
庶民は一冊の書を。ルネサンス期のイタリアの悲劇だ。
「参ったな。皆に先を越されてしまった。ここぞという時に手渡そうとしたのに」
「あれっ、ということは監督も何か持って来ていたんですか?」
ミショネのその言葉に俳優達とアドリアーナが尋ねた。
「ええ、勿論。これですよ」
彼はそう言うと懐から小箱を取り出した。
「それは・・・・・・」
「これです。アドリアーナさん、どうぞ。私からのささやかな贈り物です」
それはダイアの大きな首飾りであった。
「綺麗・・・・・・」
アドリアーナも俳優達もその首飾りに見とれた。実に美しい首飾りであった。
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