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第八話
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ぞと知らぬ森にナイフ一本渡されて放置された経験があるんだっての。
獣に劣る気配遮断でバレないと思うたか。
「使い魔君は君を心配していただけなんだから、そう構えなくともいいだろうに」
「私、コソコソしている人って嫌いなの」
ガタッ、と再び扉が動く音。
今度は音だけでなく、部屋に入ってきた。
「はは、一本取られたな使い魔君」
「………うっせーやい。元はといえば、アンタがあからさまに怪しいのがいけないんだろうが」
「これは手厳しいな。そう思われても仕方がない立場だから、反論はできないね」
はっはっは、と高らかに笑うワルド。
ほんと、髭のせいで損しているわね。若い嫁さん欲しくないのかしら。
「あ、あとひとつ言わせてもらうけど―――こうして再び君と膝を交えて語り合って分かった。君はもう、僕にとって妹のような感覚でしか接することができなくなっていたよ。昔は本気で惚れていた筈なんだけどなぁ」
「若さ故の衝動って奴でしょうね。まぁ、ロリコン認定されなくて良かったと思えばいいんじゃない?」
「そうだな。むしろ年の近い使い魔君とが君にはお似合いだよ」
「サイトは私の使い魔よ。それ以上でも、それ以下でもないわ」
どさり、と音がした方向に振り向くと、サイトが倒れていた。
「はは、前途多難だな、使い魔君」
訳がわからないわね。
取り敢えず、サイトをワルドに運ばせて私は勝手に眠りについた。
翌朝。
なーんか騒がしいなと思って音の出所を辿っていたら、サイトとワルドが剣を交えていた。
「なにしてんの」
「ああ、おはようルイズ。今朝使い魔君に、俺を鍛えてほしいと頼まれたんだ。どうせ船が出るまでには時間があるし、肩慣らしに丁度いいと思ってね」
「ふぅん………」
この使い魔は、私が任務だからってトレーニングを自粛しようと誓っていることを尻目に、そういうことをしますか。へーほー。
「それにしても、流石君に才能があると言わしめたことはあって、剣技じゃ敵いそうもない。とはいえ、本分は魔法だから気にしてないけどね」
「そうね。そういえばサイトは対魔法戦の経験が圧倒的に不足しているし、ここで身体に嫌と言うほど刻んでおけばいいんじゃないかしら」
「任務に支障が出ない程度にはそうさせてもらうつもりだよ。こんな機会、そうはないだろうしね。………にしても、不機嫌そうだけどどうしたんだい?」
「べっつにー」
あーあー、はやく船でないかなー。
暇だから散歩してこよーっと。
「って、あれは―――」
散歩に出てしばらく経ち、見覚えのある後ろ姿を発見する。
「ミス・ロングビル。どうしたんですか、こんなところで」
「ミス・ヴァリエール!
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