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戦国御伽草子
弐ノ巻
輪廻

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超えてしまったんだ。でも、こうなることはわかっていた)



「うそよ嘘!そんなの絶対に信じない!」



(ずっと一緒に、生きていたかった。真秀)



「やめて!これからもずっと一緒よ、そうでしょう!?そうと言って!」



 体の感覚がどんどんなくなってくる。けれど絶対にこの手だけは離したりしない。



 最後なんて信じない。



(真秀。…神夢(かみむ)を見たんだ。この世でも、真秀は佐保彦(さほひこ)と)



 空気が(たゆ)む。見えないけれども、真澄が微笑んだ気がした。



 真澄。嘘でしょう、真澄。



 折角また会えたのよ。なんで。なんで、あたしたち、また離れなければならないの。



 真澄は諦めている。生きることに。多分、神夢を見たというそれ故に。なぜなの。佐保彦の名は、確かにあたしの胸を苦しく締め付けるけれど。



 あたしがまた、この世でも佐保彦と逢う?



 そんなことはない。そんなことはないはずだ。



 だって、それならどうしてあたし達は夜見返(よみがえ)ってこうして巡り会ったの。真澄を見送る時、あたしは願った。今度は、正しい運命を歩みたい。あたしたちは別々の(うから)に育ち、巡り会い、争うべき憎しみも、傷つけ合う悲しみも持たず、ただ慈しみあう心だけを支えに幸せになりたいと。



 佐保彦を知らなければ、佐保彦に逢わなければ、あたしは真澄と御影(みかげ)しかいない世界で、ふたりだけを愛していられた。



 真澄を失いたくない。(みかげ)はもう死んでしまった。御影とも母と子として会えた。でも、もういない。真澄まで、いなくならないで。



 そのためなら、あたしは高彬(さほひこ)を望んだりしないから。



(そういえば)



 真澄の声が優しく響く。それは懐かしい過去を語るような柔らかい口ぶりだった。



(前にも、似たようなことがあったね。あの野洲(やす)(ムラ)で)



 あたしはどきりとした。



 真澄と御影とあたしがいた館に火がまわった事があった。真澄はひとり残りあたしと御影を安全なところへ翔ばした。けれどあたしは真澄のところへ舞い戻り、そして。



 胸が痛い。苦しい。どうして、思い出すだけでこんなに苦しいのか。呼吸の仕方を忘れてしまったかのように息が詰まる。



 そして、その時に気づいたのだ。佐保彦が愛しいと。



(今度は、戻ってきてはいけないよ)



 いいえ、真澄!



 あたしは戻る。何度だって。真澄があ
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