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第十二話 圧倒、圧倒
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全な確信には至ってはいなかったのかもしれない。
けれどこのタイミングで沈黙してしまったことにより、自らの能力についての推察を肯定してしまう形になってしまった。
「そこまでタネが分かれば対処は容易い。」
先ほどまでと同じように無数の魔力弾が生成される。
だが、この魔力弾は先ほどと同じように消滅させることはできないだろう。
新暦70年ごろのJ・S事件、新暦80年ごろのエクリプス事件の両事件を皮切りに、対魔法技術に対する対策と言うのは十全に練られてきていた。
AMF、ディバイド能力。そのどちらについても今の時代では対策がなされ、使っていると分かれば多少の威力減衰はやむなしにしろ、攻撃を消されると言うようなことは無くなっている。
先ほど生成された魔力弾は同じように対策された魔力弾だろう。
それを消し去ることは難しい。
それにどちらにしろ、能力の制約のせいでまだ発動することはできないのだが。
「ちくしょう……、ここまでか……。」
この時点で残された選択肢は二つ。
撤退か、徹底抗戦か。
撤退ならばリスクは少ない。増援さえなければ、誠也が空戦の適性を持たない以上、比較的楽に逃げることが可能だろう。ただ、誠也はあるタイミングを境に迷いや焦りが唐突に消えたことを見ると、もしかしたら増援はすでに来ているのかもしれない点が最大のネックである。
徹底抗戦はかなりリスクが高い。恐らくこのまま戦っても勝つことはできないだろうし、捕まる可能性が高まる。ただ、もしもうまくいけば自分達のもう一つの目的も達成することができるかもしれない。
(よし!)
一つの決意をし、誠也に背を向け走り出す。
「逃がしはしない!」
魔力弾を放つ。
その軌道はまっすぐ相手を追うのではなく、迂回しある一点で全弾が相手に全て直撃するような軌道である。
その軌道に相手は自らの勝機を見た。
突如反転し、全力で地面を蹴り出す。
その背後で魔力弾が着弾し爆風を巻き起こす。
その爆風すらも利用し一気に加速して誠也に迫る。
「おおあっ!」
全力を賭けた拳を振りかぶり、誠也のもとへ駆ける。
「だりゃああ!!!」
高速の拳が誠也へと襲いかかった。


「ぐっ……、くぁ……。」
突如として襲いかかった痺れに一体何が起こったのかと思う。
結界の外を間近にして、突如として襲いかかった痺れ。
自分に一体何が起こったのか。
そして手に持っていたはずのロストロギアはどこに行ったのか。
さまざまな疑問が頭をよぎる。
そしてその答えは後ろから放たれた。
「ぐぁああ!!」
雷撃。それが全身に突如として襲いかかる。
すぐさま対麻痺の術を行使して、後ろを振り向く。
「アリス・T・ハラオウン執務官です。あなたをロストロギア強奪の現行犯で逮捕します。」
そこに居たのは金色の髪を
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