暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十三話 闇を制する者
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
のは性格が良いからさ。そう思うしかないな」

「オーベルシュタイン中将もか?」
俺の質問にギュンターは一瞬虚を突かれたような表情をしたが直ぐニヤッと笑みを浮かべた。
「そうなるんだろうな」
二人で顔を見合わせた。どちらかともなく吹き出すと、大きな声で笑いだした。疲れているのだろう、なかなか止まらない。たっぷり二分は笑わせてもらった。


「帝国最強の情報機関か……、あながち否定できんな」
「ギュンター?」
「憲兵隊は軍内部に関心が向きがちだ、国家安全保障庁は立ち上がったばかり、旧社会秩序維持局は国内の不平分子、不満分子に視線が向きがちだった。それに比べればエーリッヒはオーディン、フェザーンに拠点を持ち政、軍、官、そして貴族にも関心を示している。今では反乱軍の情報も奴が一番押さえているだろう」

「将来的にはともかく現状ではエーリッヒの方が上か」
「……そうだな」
頭の痛い話だ。ローエングラム公が怒るのも無理は無い、帝国の情報機関、捜査機関は余りにも脆弱だ。捜査対象が余りにも狭すぎる。オーベルシュタイン中将と話して分かったが、国家安全保障庁も憲兵隊も地球教を捜査対象にしてはいなかった、旧社会秩序維持局もだ……。

「ギュンター、不思議とは思わないか? あいつ何時の間にかキュンメル男爵、地球教を調べている。ローエングラム公にも叱責されたが海賊屋敷の動きを押さえていたのに気付かなかった。気付いていればこっちでも地球教の動きを知る事が出来たと思うんだが……」
ギュンターが俺の言葉に頷いた。

「押さえ切れていなかったか、或いは……」
「或いは?」
「海賊屋敷とは別な組織が動いたか……」
ギュンターがじっと俺を見詰めている。息苦しい程に圧迫感を感じた。

「……つまりエーリッヒの目と耳は海賊屋敷以外にも有る、その組織はまだ俺達の前に姿を現していない。……そういうことか?」
「その可能性があるだろうな。情報は海賊屋敷の人間が持ってきた。しかし彼はエーリッヒの使いだと言った。地球教の動きを探ったのは海賊屋敷ではなくエーリッヒの指令を受けた別組織だったのかもしれない。海賊屋敷は情報をエーリッヒから手渡され俺に渡すようにと言われた……」

ゾクッとした。このオーディンで闇の中で戦っている人間達が居る。本来なら俺達国家安全保障庁こそが闇で戦う組織の筈だ。だがその俺達でさえ知らない奥深い闇がある。地球教、そしてエーリッヒの謎の組織……、彼らはその奥深い闇で蠢いている。地球教は、或いはフェザーンも絡んでいるのかもしれないが、彼らはローエングラム公を暗殺しようとしエーリッヒはそれを防ぐために動いた……。

似ていると思った。エーリッヒに闇の組織が有る様にフェザーンにも闇の組織があるのかもしれない、それが地球教……。だとすれば今
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ