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蒼き夢の果てに
第5章 契約
第54話 炎の契約者?
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い方から考え、更に、炎の精霊と言葉を交わすべき、炎を頂く王家と言う者が存在しない以上、彼女が寂しかったのは事実です。
 そして、俺は彼女に宣言しましたからね。

 精霊とは、今までも。そして、これから先もずっと、友で有り続けると。

「そうか。それならば何時か、オマエさんに相応しい人間になった時に、誓約のくちづけを交わして、俺の式神……もしくは、識神となってくれると言う事やな」

 その言葉を聞いたモンモランシーからは、やや微妙な気が発せられましたが、しかし、タバサと、そして、湖の乙女からは変わる事のない、落ち着いた気を感じる事が出来た。
 モンモランシーの発した気配の意味は判りませんが、タバサの方の意味は、何となく判りますか。

 湖の乙女に関しては……。他者の行動に興味がないのか、それとも、俺の答えが、彼女の想定の範囲内だったのか。微妙なトコロですか。

「オマエが、それに相応しい人間ならば」

 まったくの澱みもなく、そう答えを返して来る女神ブリギッド。意志の強さを感じさせる瞳に俺を映し、揺るぎない信念の元に凛と立つ姿は、出会った当初のまま。
 先ほどまでの挙動不審の状態からは考えられない変わり様。

 そして、それもまた。炎の契約者として、この見た目アンダー十二の美少女姿の炎の精霊と共に過ごして行く未来も楽しいかも知れないか。……と、考える俺がここに居ました。

 俺は覚醒した龍種。同時に、仙人の弟子でも有る。
 この両者の寿命に関しては、正直なトコロ、さっぱり判っていないのが現状です。
 そして、それは当然、精霊に関しても同じ事が言えます。

 今、起きている厄介事がすべて終わって、更にタバサが俺を必要としなくなった後に、それでも俺が存在していたのなら、その時には、彼女の相棒として過ごして行くのも楽しいかも知れません。
 まして、ブリギッドの言う炎の契約者と言うのは、そう言う存在の事を言って居るのでしょう。

 精霊と人間の契約は、大抵は、人間の寿命が終わった時に終了します。それまで過ごして来た、想い出だけを残して。
 紅く染まった夢の世界で、懐かしい思い出と共に夢を見続けて居たい……と、湖の乙女も言っていましたからね。

 人間とは違う時間を生きる龍種で、更に仙人の弟子で有る俺ならば、そう簡単に寿命に因っての別れが訪れる、と言う哀しみを味わう事は有りませんから。

「なら、それまでの間に、オマエさんに呆れられないように、俺は自らを高めて行く必要が出て来たと言う事やな」

 先ほどのブリギッドの言葉が誓約ならば、これも誓約。湖の乙女の目の前で為されたこの誓約に因り、例え、彼女……女神ブリギッドとの契約を交わさなくとも、俺は、常に自らを高めて行かなければならなくなったと言う事です。

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