いらだち
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優君ならともかくお兄ちゃんが全中ベストエイトのあたし相手に勝負になるのかな?それに……」
直葉は心配そうな表情をした。
「体のほう、大丈夫なの……?無茶しないほうが……」
「ふふん、毎日ジムでリハビリしまくってる成果をみせてやるさ」
和人はそう言って優から空のペットボトルを奪い取り、クシャと潰す。そして、和人は家の裏手にある道場に向かって歩き始めた。
「行こうぜ。スグ」
そう言って直葉と優も和人の後を追って道場に行った。桐ケ谷家には小さいが立派な道場がある。そこは、直葉と優が稽古に使っていた場所だ。直葉は今も使ってるようでそれなりにちゃんと整備がされている。
素足で道場に上がった三人は軽く一礼をする。そして直葉と和人は各々の準備を始めた。それぞれ防具をつけ道場の中央で向き合う。蹲踞をして、立ち上がると直葉は竹刀を中段に構える。和人はSAOで片手剣の構えだった。それを見た直葉は吹き出した。
「そ、それなあに、お兄ちゃん」
まあ、この構えははたから見れば珍妙な構えかもしれないが、和人の構えは自分なりに試行錯誤して一番しっくりくる形を選んだ結果だ。
「審判が優君じゃなかったら無茶苦茶起こられるよ、そんな構え」
「いいんだよ、俺流剣術だ」
「じゃあ、そろそろ始めるぞ」
優はそう言った。そして、初めと開始の合図した。
直葉は顔面に一発入れようと足に力を込めていたが急に力が緩んだ。どうやら直葉は気付いたようだ。あの構えに隙が少ないことに。そして直葉の迷いを見透かしたように和人が直葉に突っ込んだ。右下段から竹刀を跳ね上げる。直葉はそれに対応して避けると左五手に竹刀を打ち下ろす。しかし、その竹刀は和人が腕を自分のほうに引いて避けた。少しは身体はついていけているようだな。そう思いながら剣士キリトの像を重ねる。
案外、現実でも動きが様になってるなと思いながら見ていると、直葉が鍔迫り合いに持ち込んだ。さすがに直葉の圧力に耐えられなかった和人はぐらりとよろめく。
「めぇぇぇぇぇん!!」
そこに手加減のない一撃が和人の面金に炸裂しバシーンと大きな音を立てた。
「一本。直葉の勝ち」
そう言って直葉の勝利を宣言した後、和人の近くによる。直葉もしまったと言う表情を面の下で浮かべ和人に駆け寄る。
「だ、大丈夫、お兄ちゃん!?」
和人は直葉に大丈夫と軽く手を上げる。
「……いやぁ、参った。スグは強いな、ヒースクリフなんか目じゃないぜ」
「……ほんとに大丈夫……?」
「おい、スグに言ったってそれはわからないだろ。それより終わるぞ」
和人はそうだなと言って数歩下がり竹刀をひゅんひゅんと左右に振って背中まで持っていく。直後に硬直
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