第四十四話 キャンベル星人、立つ
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シンである。
「もうよ」
「何だというんだ?」
「猿は何処に入るんだよ」
いきなりこれだった。
「何処にだよ」
「檻だ」
「だからだよ。猿は檻の中に入るんだよ」
いつもの売り言葉だった。
「わかったか、この雌猿」
「よくわかった」
カガリもその言葉に頷く。
「それではだ」
「何だ?やろうってのか?」
「遺書を書け!」
いきなりこれだった。
「今日という今日は殺してやる!」
「面白い、決着つけてやるぜ!」
お互いの胸倉を掴み合っていた。
「ここでだ、死ね!」
「今日こそは終わらせるからな!」
「何でこの二人って」
フレイは今日は傍観者になるつもりだった。
「こうまで仲が悪いのかしら」
「五月蝿い、禿!」
シンは何故かフレイをこう罵った。
「ヒス起こしてばかりでないでたまにはまともな料理作れ!」
「何ですってえ!?」
これでフレイも参戦が決定した。
「言ったわね、カガリ助太刀するわよ!」
「うむ、二人でこの不埒者を始末するのだ!」
「よし、二人がかりで充分だ!」
それで臆するシンではなかった。かくして壮絶な、猫の喧嘩の様な有様になった。
皆そんな三人から離れる。そのうえでごく普通にお喋りを続ける。
「いつものことだからねえ」
「慣れましたね」
輝がユウナに対して言う。
「いい加減」
「全く。カガリも相変わらずだね」
一応声だけは嘆いてはいる。
「喧嘩っ早いねえ」
「そうは言っても止めないんですね」
「絶対に」
「止める時は止めるよ」
ユウナは一応周りにはこう答えた。
「けれどね」
「殴られるからですね」
「それで」
「何度殴られたか」
仲裁に入っていつもだったのだ。
「わからない位だからねえ」
「だから今はですか」
「見ているだけ」
「それに徹するんですね」
「うん、今はね」
実際にそうするというのだった。
「そうさせてもらうよ」
「まあそれが一番ですね」
「確かに」
皆何だかんだでユウナのその判断に賛成した。
「今は三人で、ですからね」
「二対一」
「かなり物騒な喧嘩ですし」
シンはカガリ、フレイと取っ組み合い、掴み合いの喧嘩をしている。服も髪もボロボロになっている。
「あんな中に入ったらそれこそ」
「何がどうなるかわかりませんよ」
「ぶっちゃけあれだしね」
ユウナはこんなことも言った。
「喧嘩をしなかったらカガリじゃないよ」
「それがなかったらですか」
「そこまで言いますか」
「あれなんだよね。昔から手がつけられなくて」
「はい、全く」
「ご幼少のみぎりからそうでした」
トダカとキサカもユウナの後ろからしみじみとした口調で語る。
「まず手が出られますし」
「マナーやそう
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