第三十七話 妖しい笑み
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第三十七話 妖しい笑み
「それでね」
「ああ」
「そういうことよ」
「そうだったのか」
「あそこにも巣を置いていたのよ」
グレイスがブレラに話していた。
「実はね」
「それでか」
「それもガリア4と同じ規模のものをね」
「そこまでの巣をか」
「置いてあったのよ。他にも幾つもあるわよ」
グレイスは笑っていた。しかし目は笑っていない。
「そう、幾つもね」
「そしてそれを使ってか」
「私はやってみせるわ」
その笑っていない目での言葉だ。
「あのことをね」
「あくまでそうするか」
「そうするわ。そしてブレラ=スターン」
彼の名前を呼んでみせた。
「貴方もね」
「そうだ」
ブレラの返答は決まっていた。
「ランカをな。何があっても」
「凄いわね。その気持ち」
ブレラのその強い意志を見ての言葉だ。
「何か」
「何か?」
「妹を護る兄みたいね」
それだというのである。
「そんな感じね」
「そう思うか」
「見えないこともないわ」
含み笑いと共の言葉だった。
「どうもね」
「ならそう思っておくといい」
ブレラはそれはいいとした。
「別にな」
「気にしないのね」
「他人がどう思おうと構いはしない」
「それはどうでもいいのね」
「全くな」
そうだというのだった。
「意に介したりはしない」
「わかったわ。それじゃあ貴方はね」
「ランカのことは好きにさせてもらう」
また言うのだった。
「まさかここで会うとは思わなかったが」
「人は会うものよ」
グレイスはこのことはこう話した。
「会うべき人とはね」
「会うべきならばか」
「そう、会うのよ」
そうだというのである。
「それは言っておくわ」
「だからランカと会えたのか」
「その巡り合わせを大事にしなさい」
またブレラに話す。
「いいわね」
「ではそうさせてもらう」
こうしてだった。また頷くブレラだった。そうしてだ。
「それではだ」
「帰るのね」
「そうだ、仲間達と約束がある」
こう言って一歩動いた。
「だからだ」
「仲間、ね」
それを聞いてシニカルな笑みを浮かべるグレイスだった。
「貴方にもできたのね」
「おかしいか」
「いえ、それは別に」
それはいいというのだ。
「けれど。変わったわね」
「俺がか」
「ええ、かなり変わったわ」
こう話すのである。
「それもかなりね。ただ」
「ただ?」
「目的を忘れないようにね」
それはだというのであった。
「わかっていると思うけれど」
「無論だ」
ブレラの返答はすぐに出された。
「それはだ」
「そう。それならいいけれど」
「俺を疑うのか」
ブレラの目が鋭くなった
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