第三十三話 メモリー=オブ=グローバル
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その時彼等は。
今水を浴びていた。アルトは紫のトランクス一枚になってだ。そのうえで頭から水を被っていた。
「この水はな」
「どうしたの?」
「飲まないと大丈夫だからな」
こう言うのである。
「飲まないとな」
「それ以外はなのね」
「水質チェックはしたからな」
そのうえでの言葉だった。
「だからな」
「そうなの」
「ああ。それにしても」
「それにしても?」
ここで話が変わった。
「何だな」
「うん」
「あのマクロス」
「グローバル艦長の乗ってるのと同じタイプ?」
「ああ、第一世代のだ」
その時のものだというのである。
「それでも随分年代が経ってる感じだな」
「どうしてあそこにあるのかしら」
「さてな」
アルトにもそこまではわからなかった。
「ただな」
「ただ?」
「ガリア4に駐留しているゼントラーディ軍も知らないみたいだしな」
「そうよね。それは」
「ゼントラーディもここに来て日が浅いらしいしな」
このことはもう知っているのである。
「それでも。あんなのがあるなんてな」
「ええ。有り得ないかしら」
「有り得ないことじゃないさ」
アルトはそれはそうではないという。
「けれどな」
「けれど?」
「何であれを最初に見た時あんなに騒いだんだ?」
彼が今言うのはこのことだった。
「それは何でなんだ?」
「御免なさい、自分でも」
「わからないか」
「ええ」
こう答えるランカだった。
「私。そうした記憶は」
「ないか」
「そうなの。だから」
また言うランカだった。
「だから」
「そうか」
「自分でもどうしてかわからないの」
こうも話す。
「そうした記憶がないのは」
「思い出す必要がないからだろ」
アルトはそのことはこう言ってフォローした。
「それはな」
「そうなの。だから」
「そうさ。よしっ」
ここでだ。水を浴び終えた。
そうして身体を拭く。しかしこの時だ。
ランカはだ。こう彼に言ったのである。
「あの」
「あの?」
「髪くくらせて」
こう言ったのである。
「アルト君のその髪」
「これか」
「そう、それくくらせて」
これが彼女の今の願いだった。
「それは駄目かしら」
「いや、頼む」
それを受けてのアルトの言葉だった。
「それじゃあな」
「ええ、じゃあ」
こうしてだった。アルトは座りランカはその髪を後ろからくくった。そうしてそれからだった。アルトはそのランカにこうも言ってきたのである。
「しかし御前な」
「私?」
「ああ、びっくり箱みたいな奴だな」
微笑んでの言葉だった。
「本当にな」
「びっくり箱?」
「最初に会った時からな。何をするかわからないからな」
こう彼に言
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