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転生者拾いました。
霧の森
遭遇

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「まったく。あなたがこんなことしなければ。」

 現在うちのお姫様は森の中でプリプリしています。原因はもちろんオレ。行きたくないと言っていたところに無理矢理連れて来たからだ。

「申し訳ありません。」
「……もう。」

 その上オレはチートなパワーでボコボコに。それもドラゴンの爪をも通さないオレのチートな身体をだ。
 そして彼女はオレが森の奥深くまで連れてきたため渋々探索を始めた。

「……セリナ、気をつけろ。居るぞ。」
「居るってなによ。」
「触手&粘液ヤローだ。」
「マジ?」
「マジ。」
「というかなんで分かるのよ。」
「臭いとあとすぐそこに見えるから。」

 オレは視線を森の奥深くに流す。それに釣られてセリナもそちらを見た。
 そして青くなった。

「な、何アレ!」
「アレが通称ネンエキゴケ。攻撃力はないに等しいが一度近づけば無数にある触手に絡み取られ、穴という穴に生殖器を突っ込まれる。そして卵を産みつけられ解放される。」
「イヤァ………。」
「近付かなければ問題ない。オレたちの目標はアイツの討伐じゃない。」
「カ、カズヤ……。もう帰ろうよ。ヤダよー………。」

 嫌がるのも無理はない。オレもアイツは好きになれない。
 セリナは顔を真っ青にし震えている。仕舞いに恐慌状態になってオレを襲うんじゃ。

「大丈夫だって。ベテラン(?)のオレがいる。心配するな。さ、奥に行くぞ。」
「ま、待って。」

 さて、ここでおもしろい物が見えたので報告。オレたちがさっきの場所から七歩歩いたところで断末魔が聞こえた。

「何なの?」

 完全に怯えきったセリナはオレの腕を絞めてます。これが抱きつくなら激しくオレ得なんだが、強すぎて痛いんだよ、これが。

「ちょっと見てみるか。……ん?」
「どうしたの?」

 オレが指さす方向をセリナが見る。そこにはさっきのネンエキゴケが居たが、少し様子が違う。明らかにコケではない物が混じっていた。

「何なの?」
「どうやら捕まったらしいな。たぶんアレはカゼイタチ。速く走ることで有名な動物だ。そして只今ネンエキゴケの産卵タイムだ。」
「産卵……。」

 腕の力が強くなる。もう痛すぎてちぎれそうだ。そして震えが強くなっているのも分かる。

「イヤァ……、イヤァ…、イヤァアアァ!!!」
「ぐあぁあぁあああ!!!!???」
「ピャャャヤアアァァア!!??」

 霧の森の奥深くに複数の断末魔が響き渡った。
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