暁 〜小説投稿サイト〜
Muv-Luv Alternative~一人のリンクス~
AC―ストレイド
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話
 白銀に案内された基地から足を外し、俺は今最初に訪れた場所に来ている。

 俺の周りに広がるのは何処までも続く瓦礫の山のみ。人が住んでいたと思われる形跡も、全て無へと帰している。

 この景色を作り出したBETAとはいったい何なのか。白銀から説明を受けた時俺はそう思っていたが、それはまさしく地獄そのもの。俺が居た世界の方がまだ希望があったかもしれない。そう思わずにはいられない映像だった。

 そしてそんなBETAが作り出した景色の真ん中に一機、この景色に似合わない黒一色の機体。俺のACであるストレイド。共に幾多もの戦場を駆け抜け、そして幾多もの命を奪ってきた最悪の兵器だ。

「俺は…この世界で生き延びることが出来るのだろうか」

 その場に居るのは俺一人。その事もあり、思わず弱音を吐き出してしまう。

 そのまま瓦礫の町に佇むACの側に近寄り、硬い材質で覆われたフレームに手を置く。俺の記憶が正しければストレイドのフレームはボロボロだったはずだったのだが、視界に移るフレームは新品同様だ。触れている手に広がるフレームの感触は冷たく、中々に心地の良いものだった。

 確かにこのストレイドはこの世界で最強と呼んで良い程の戦力を約束してくれるだろう。恐らくこのストレイドでなくとも、他のACでも同様、この世界では活躍出来るだろう。当然俺のストレイドはチューン出来る所は全てチューンしてあるため、機体の性能はほぼ限界に近い。だからこその最高戦力だ。

 しかし、そんなストレイドが俺の手元にあろうが、体の中にじわじわと広がる不安は拭い切れない。前の世界では一人でも生きていける世界だった。だがこの世界は違う。間違いなく一人では死ぬ。仲間と呼べる存在が必要不可欠だ。

 あのBETAの巣であるHIVE突入にしても、仲間同士の連携がなければ、十中八九落とされる。人間は誰しも完璧ではない。どんなに強い人間だろうが、それには限界があり、一人出来る事など限られている。実際俺も前の世界では最強と呼ばれていたが、それはあくまでも戦力に関してだけだ。ある程度の情報戦や指揮も出来るとは思うが、それは俺の本職ではない以上、本職の人間には勝てない。

 つまり、綿密に練られた策に嵌まった場合、最強と呼ばれた俺でも簡単に死ぬ。事実、俺は企業側の策に嵌められ、殺されそうになった。最も、俺は死ぬ前にこの世界に来てしまったのだが。今ではむこうの世界がどうなったのかも分からない。…いや、もう俺には関係のない話か。

 結果何が言いたいのかと言えば、俺はこの世界で信頼出来る人間を先ずは作らなければならない。自分が生き残る為にもこれは最優先事項だろう。恐らく俺の衣食住の保障はあの女性がしてくれる筈。ACの技術には食いつくはずだからな…。

 まぁ…ACの技術が認めら
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ