第一幕その五
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
第一幕その五
「うむ、そうだな。出身と名前もわかったし」
彼はまだ色々と聞きたそうであったがここで止めることにした。
「ジョンソン、ようこそポルカに」
ミニーは笑顔で言った。
「有り難うございます」
ジョンソンはその言葉に対し一礼した。
ミニーは彼に対し顔を近付け小声で言った。
「覚えているかしら」
「ええ、とても」
彼は答えた。
「ソレーダ出身のミニーさん」
「そう、覚えてくれていて有り難う」
ミニーは顔をほころばせた。
「ソレーダにいた頃が懐かしいわ。お父さんもお母さんもよくカードをしていたわね」
彼女は幼い頃を思い出していた。
「お父さんもお母さんも私も脚を寄せ合って暮らしていたわ。貧しかったけれどとても幸せだった。あの頃が本当に懐かしいわ」
「何時聞いてもいい話だね」
「有り難う。あの時が一番幸せだったかもね」
「じゃあ今はどうなんだい!?」
ここでランスが尋ねてきた。自分だけ話の外にいるようであまり気分がよくなかったのだ。
「今もとても幸せよ。けれど昔を懐かしむ気持ちってあるじゃない」
「まあ確かにな」
ランスはここで首を引っ込めた。
「貴方と会ったのはモンタレーだったわね」
ミニーは話を再開した。
「そう、そして僕がジャスミンの枝をあげたんだった」
「よく覚えてるわね」
「ええ、自分でも驚く程」
ジョンソンは上機嫌で言った。
「あの時また会おうって言ったの覚えてるかしら」
「ええ」
「嬉しいわ、それで今日また会ったわね」
彼女はその言葉を聞いて微笑んだ。
「これも神様の思し召しかしら」
ランスはその会話を不機嫌そうに聞いていた。そしてテキーラを頼んだ。
「ジョンソンさん」
「はい」
ランスはジョンソンをその不機嫌な目で睨んだ。
「申し訳ないが今貴方をここに入れるわけにはいかない。盗賊達の動きが気になるんでね」
「ランス、何てこと言うのよ」
ミニーがその言葉に顔を顰めた。
「ミニー、俺は保安官として言ってるんだ」
口ではそう言った。しかし内心では違うのは自分が最もよくわかっていた。
「余所者は今はここには泊めない。悪いがこれは治安上の問題だ」
そう言ってジョンソンを帰そうとする。そこへ店に何人か大声で入って来た。
「保安官、ここにいたか!」
そのうちの一人が言った。
「どうした?」
ランスは入口の方に顔を向けた。
「おっ、アッシュビーか」
その口髭を生やした男を見て言った。
「ああ、凄い奴をとっ捕まえたんだ!」
「何だ?またコヨーテのでかいやつか?」
「まあ近いね」
アッシュビーはその言葉を聞いて笑った。
「見てくれよ!」
そう言って縛り上げられた一人の男を床に放り出した。
「こいつ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ