第二十五話 ハザルの策謀
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第二十五話 ハザルの策謀
「そうか」
「うむ」
巨大な何か機械を思わせる外見の男がだ。モニターに映るハザルと話をしていた。漆黒のその仮面、いや機械の顔にそれとマントを羽織っている。そういう男だった。
その男がハザルに対してだ。言っているのである。
「グラドス軍は壊滅した」
「所詮は捨て駒だ」
ハザルもそれを聞いてどうということはなかった。
「なくなればその後を補充するだけだ」
「それだけだな」
「そうだ、それだけだ」
まさにそれだけだというのだ。
「結局のところはな」
「グラドス軍はか」
「そうだ」
また答えるハザルだった。
「それだけだ。そしてズール卿よ」
「うむ」
「貴殿の軍もだな」
「そうだ、敗れた」
ズールの言葉も素っ気無い。
「結局のところだ」
「損害は大きいか」
「どうということはない」
それを聞いて全く驚かないズールだった。
「それにだ。戦力はまだある」
「ではそれでいいのか」
「そうだ、それでいい」
ズールの言葉は続く。
「まだ七個艦隊もある」
「直属艦隊の損害は大きくともか」
「そうだ、その程度だ」
ハザルと同じ様な言葉だった。
「そういうことだ」
「ふむ。やはり卿らしい」
ズールを認める言葉だった。
「それでいい」
「そう言うのだな」
「そうだ。しかし」
「しかし?」
「ロンド=ベルの次の動きはわかっているな」
「ロンド=ベルか」
「そうだ。よければだ」
ハザルはさらに言ってみせたのだった。
「俺の軍もまた向かわせるが」
「援軍か」
「どうだ、それは」
また言うのだった。
「遠慮なく何でも言ってくれ」
「いや、それはいい」
だがここでズールはこう言うのだった。
「私だけでどうとでもできる」
「だからだというのか」
「そうだ、だからいい」
また言うズールだった。
「卿の申し出は有り難いと言っておくが」
「それでもか」
「そうだ、私だけであの者達を殲滅する」
「ではここは見させてもらうぞ」
「好きなだけ見るがいい」
仮面を思わせる顔なので表情は見えない。しかしなのだった。
そしてだ。さらに言うのだった。
「私があの者達を倒すところをだ」
「待て」
ハザルの顔が歪んでいた。不機嫌なものになっている。
「ロンド=ベルを倒すというのか」
「そうだが。それがどうした」
「あの連中は俺の獲物だ」
こう言うのである。
「俺のだ。このハザル=ゴッツォのだ」
「そして父上に認められたいというのか」
「何っ!?」
「気に障ったか?違うか」
「貴様、俺を愚弄するというのか」
「愚弄と思ったか」
ズールは言葉に嘲笑を含ませていた。それを
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