第二十三話 解放
[12/13]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
「ええ、そうして」
「それからですね」
「降下する」
実際にそうするというのだった。
「そして彼等と雌雄を決しよう」
「兄さん、彼等はまだ」
「マーズ、これも戦いだ」
マーグは今度は弟にも告げた。
「最後の最後まで。戦うというのもだ」
「最後の最後まで」
「おそらくはズールの命令だ」
ズールの名前も出したのである。
「あの男のだ」
「ズールの」
「そうだ、ズールのだ」
彼はまた言った。
「あの男の命令で間違いない」
「そうですね」
テッサがマーグの今の分析に頷いた。
「副司令官でありながら前線に出てそのうえでここまで戦うとなると」
「ズール、捨て駒にするつもりか」
マーグの顔がここで曇った。
「己の片腕ですら」
「片腕とは思っていないのだろう」
宗介の言葉だ。
「若しくはだ」
「若しくはか」
「片腕は他にあるから」
こう言うのだった。
「だからこそ。副司令であろうともだ」
「過酷に扱えると」
「捨て駒の様に」
「そうだ、そういうことだ」
宗介は冷徹に分析していた。
「己しかない相手かも知れないがな」
「どっちにしてもいけ好かない相手だね」
メリッサは宗介の言葉を聞きながら顔を曇らせていた。
「それならばな」
「そうですね、確かに」
「だとすると」
「それにだ」
宗介の言葉は続く。
「犠牲も厭うことはないようだな」
「その通りだな」
彼の言葉に刹那が頷く。
「だからこそ撤退を許さずだ」
「戦わせ続けるということだ」
「それじゃあよ」
小鳥は眉をしかめさせて述べた。
「こっちはそれに対して殲滅戦を挑むしかないのね」
「ああ、そうだ」
「それしかない」
実際にこう答えた宗介と刹那だった。
「敵が要地にいてあくまで戦うというならだ」
「それしかない」
「ちっ、わかったぜ」
「だったら仕方ないわね」
皆これで意を決した。そうしてだった。
「早く戻って」
「それで降下ね」
「急いでくれ」
大河が急かしてきた。
「いいな、すぐにだ」
「はい、わかってます」
「それじゃあすぐに」
「よし、乗り込めばだ」
大河はその先も既に考えていた。
「一気に降下する。集結してだ」
「そしてそこで、ですね」
「また戦いですね」
「降下してすぐに戦いになるだろう」
こうも読んでいる大河だった。
「ならばだ。いいな」
「はい、じゃあ」
「それなら」
まずは艦に戻った。そうしてだった。
「全軍降下だ!」
「了解!」
「はい!」
こうして今度は惑星での戦いになるのだった。戦いはまだ終わらなかった。
第二十三話 完
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ