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西部の娘
第三幕その五
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ソレダードへ戻るわ」
「盗賊達は解散する。彼等ももうこんなことはしたくないと言っていたし」
「そうか。じゃあこれからは二人で暮らしていくんだな」
「・・・・・・ええ」
 ミニーはソノーラの言葉に答えた。
「これからはずっと一緒よ」
「ミニー・・・・・・」
 ジョンソンはその言葉に目頭を熱くさせた。
「じゃあこれでお別れだな」
 アッシュビーがそれを聞いて言った。
「もう二度と会えないだろうね」
 ニックが寂しそうに言った。
「ええ。だけど貴方達のことは一生忘れないわ」
 ミニーは彼等に対して言った。
「ミニーと再会することが出来たこのカルフォルニア・・・・・・。どうして忘れられるというんだ」
 ジョンソンも言った。
「もう二度と帰っては来ないんだね」
 一同の中の一人が言った。
「ええ。だけど心のは永遠に残るわ」
「それならいい」
 皆が言った。
「それだけで充分だ」
「・・・・・・有り難う」
 二人は彼等に礼を言った。そして馬に乗った。
 ジョンソンが手綱を握る。ミニーはその後ろに乗った。
「貴方達と共に過ごした時のことは永遠に」
「ソレダードにいてもそれは永遠に」
 ジョンソンとミニーは彼等に対して言った。
「ああ、何時までもな」
 皆それを見送った。ジョンソンは手綱を動かした。
 馬がいななく。そして歩きはじめた。
「それじゃあ」
「ああ、さようなら」
 そして二人は最後に皆に対して、そしてカルフォルニアに対して告げた。
「さようなら、私達のカルフォルニア!」
 二人はもう振り返らなかった。そのまま遠くへ去って行く。
 すぐに森の向こうへ消えた。皆それを何時までも見送っていた。
「・・・・・・これで良かったのか」
 ランスはそれを遠くから見つめながら一人呟いた。
「ミニーは勝ち取ったんだ、己の幸せを」
 そう言って懐から葉巻を取り出した。
「俺の負けだ。俺は結局単なる卑怯者に過ぎなかった」
 うなだれて葉巻に火を点けようとする。その時横から誰かが火を差し出した。
「・・・・・・ソノーラか」
 彼はその火を差し出した男を見て言葉を出した。
「あんたは卑怯者なんかじゃないよ」
 彼は微笑んで言った。
「フン、よしてくれ」
 ランスはその言葉に対し申し訳なさそうに言葉を返した。
「おれがあの男を捕まえようとしたのは事実だ。俺もそれはもみ消さんさ」
「だがあんたはミニーの願いを聞き入れた」
「・・・・・・・・・」
 ランスはその言葉に沈黙した。
「カードもいかさまだとわかって退いた。ミニーが来た時も撃とうと思えば出来た。あんたの腕ならな」
「かもな」
 彼はしらばっくれるように言った。
「しかし退いたし撃たなかった。それはあんたがミニーの心に打たれた
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