過去の出会い
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
…か」
その日の予定がすべて終わり、後は自習時間。俺はどうしても頭を離れない少女、朝田詩乃について調べた
この付近にある。郵便局で起きた事件
そもそもこの付近に引っ越してきたのは受験の後で病養のため。だから知らなかった
死亡したのは犯人ただ一人
死因は出血多量による失血死
銃殺した人は書かれていないが、小さな町の大きな事件だ。噂が広がるのはもはや当然と言える
見たところ完全な正当(少し過剰かもしれないが)防衛
だが、人間というのは小さいもので他人の隙に付け込み騒ぎ立てる
ましてや所詮小中学生。いじめに発展するのはもはや当然の理だった
「ってなんで俺はこんなことをしてるんだろうな……」
睡眠時間を削ってまで朝田詩乃のことを調べている
何を考えているのか自分でもわからない
「くっ……」
長い間画面を見ていたからか、首を動かすとポキポキと音がする
疲れた目を押さえながらパソコンを電源を落とす
おもいっきり伸びをするとあくびとともに涙が出てきた
時計を見ると午前三時を回っている
「そろそろ寝ないと」
寝ないと明日がつらい。学校では真面目に授業を受けるように厳命されている。内申に響くからだ
「でも……」
寝れそうにない
朝田詩乃が走り去るときの表情が忘れられない
「PTSDか……」
Posttraumatic stress disorderの略。日本語で心的外傷後ストレス障害
危うく死ぬまたは重症を負うような出来事の後に起こる、心に加えられた衝撃的な傷が元となる、様々なストレス障害を引き起こす疾患のこと(Wikiより引用)
精神的な病気の類いは治すことが難しい。心の傷というのは治療法がないのだ
カウンセリングというのはまずは患者との信頼関係を築くことが重要だ。問題は
「どうやって信頼を得るか、か……」
不思議な気分だった。いつも親の言うことを従ってばかりいたのだが、今は俺が考え、俺がしたいことをする
それの素晴らしいこと
「……自由か……」
簡単なようで難しい自由。俺はそのことを考えながら窓から見える夜空を見上げた
「……キャラじゃねぇ」
結局眠れなかった
「やめて!」
そんな声がきこえたのは朝田詩乃と初めて会ってから一週間ほど経った昼放課時だった
「何をやってる?」
自分でもわからないうちにその声が聞こえた場所へ行って声をかけていた
「あんた誰よ?」
真ん中には朝田詩乃。その周りには男子五人と女子一人。どうやら女子がリーダー格らしく俺に返答をしてきた
「2年の鈴木燐だけど……」
「で、その先輩様が何の用?」
こいつらには悪いことをしていると
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ