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西部の娘
第三幕その三
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「ああ、だがほんの少しだけだぞ」
 彼もそれを認めた。
「そういうことだ。ラメレス、話してみろ」
 ソノーラはジョンソンに顔を向けて言った。
「すまない」
 ジョンソンは彼に礼を言った。
「俺はもう心残りは無い。いつかはこうなるとわかっていたからな」
 彼はランスやソノーラの方に身体を向けて話しはじめた。
「だが一つだけ心残りがある」
 彼は少し俯いて言った。
「ミニーのことだ」
 それを聞いたランスは顔を顰めた。
「彼女のことで頼みがある。彼女には俺がどうやって死んだか絶対に教えないでくれ」
「わかった、それは約束する」
 ソノーラはそれを聞いて言った。
「皆もそれは誓ってくれるな」
 そして彼は仲間達の方を振り向いて言った。
「あ、ああ」
 彼等は戸惑いながらもそれを了承した。
「ラメレス、この通りだ。それは安心してくれ」
 そして彼はあらためてジョンソンに対して言った。
「・・・・・・有り難う」
 ジョンソンは再び礼を言った。そして言葉を続けた。
「彼女は俺が無事に何処かへ旅立ったと信じているんだ。そして俺がいつかまた帰って来ると信じている。その想いだけは決して壊したくはないんだ」
 彼はさらに続けた。
「だが俺は今から死ぬ。ミニーに別れを告げずにな。ミニーは俺の荒んだ生活の中で唯一つ見つけた花だった」
「・・・・・・話は終わったか」
 ランスはそれを聞いて言った。
「ああ、もうこれで終わりだ」
「そうか」
 そして彼はジョンソンに歩み寄った。
「行くぞ」
「わかった」
 そして縄がかけられている木の下に向かった。
 男達はその周りを取り囲んだ。ランスは腕を組んで見ている。ソノーラは縄の下に来たジョンソンに対して問うた。
「目隠しはいるか?」
「いや、いい」
 ジョンソンはそれを断った。そして台に登ろうとする。その時だった。
「待って!」
 不意に誰かの声がした。若い女の声だ。
「まさか・・・・・・」
 皆その声にハッとした。思わず動きを止めた。
「ミニーだ」
 誰かが言った。見ればミニーが馬に乗ってこちらにやって来る。

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