第二幕その六
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第二幕その六
「ミニー、何をするんだ!」
そしてミニーに向かって叫んだ。
「今あの人は傷を負っているのよ!」
「それがどうした!」
「あんた怪我している人間を連れて行くつもりなの!?」
「そうだ、それが悪いか」
ランスはミニーを睨み付けて言った。
「俺は保安官だ。罪人をしょっぴくのが俺の仕事だ」
「あんた前言っていたわよね」
ミニーはランスを睨み返して言った。
「例え罪人でも怪我している奴は捕まえないって。怪我している奴を捕まえて喜んでいるのは本当の西部の男じゃないって」
「・・・・・・・・・」
ランスは何も言い返せなかった。確かに言ったからだ。そしてそれは彼の西部の男としての信条であったからだ。
「・・・・・・思い出したかしら」
「・・・・・・ああ」
ランスは苦味に満ちた声で答えた。
「・・・・・・だが条件がある」
彼は怒りに満ちた目で言った。
「俺と勝負して勝ったならな」
「怪我人に対してよくそんなことが言えるわね」
「安心しろ、そこにいる盗賊に対してじゃない」
彼は天井を見上げて言った。
「俺が勝負を申し込むのは・・・・・・」
顔を下に戻した。
「あんたにだ」
そしてミニーを指差して言った。
「あたしに!?」
「そうだ、あんたにだ」
ランスはミニーを睨み付けて言った。
「あんたが勝ったら俺はここから何も言わず引き揚げる。だが俺が勝ったら・・・・・・」
ランスは言葉を続けた。
「あの男は捕まえる。そしてあんたは・・・・・・」
ミニーは次の言葉を待って息を飲んだ。
「俺のものだ」
ランスの自分への気持ちはよくわかっている。ランスもそれは隠そうとはしていない。ポルカでもそうだったのだから。
「・・・・・・いいわ」
ミニーは答えた。そしてランスを睨み返した。
「で、勝負は何?銃?望むところよ」
「いや、それは止めにしよう」
ランスは言った。
「じゃあどうするつもり!?」
「カードだ」
ランスは言った。
「俺は元は博打打ちだ。あの男は盗賊。そしてあんたは居酒屋と賭博場の女主人。どいつもこいつもカードとは切っても切れない関係だ。悪くないだろう」
「・・・・・・ええそうね」
ミニーはそれを聞いて答えた。
「所詮同じ様な状況に住んでいる人間だからね。盗賊も博打打ちも」
「そういうことだ。この西部では特にな」
「で、何で勝負するの?ポーカー!?ブラックジャック!?」
「ポーカーにするか。それがこの西部には最もお似合いのカードだ」
「わかったわ」
「いいな、俺が勝ったらあんたとその男は俺のものだ」
「ええ。その代わり私が勝ったなら・・・・・・」
「わかっている」
ランスは頷いた。そして二人は席に着いた。
「用意はいいか
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