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西部の娘
第一幕その一
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ンプに石油を入れそこに火を灯した。
「これでよし」
 彼はそれを終えるとカウンターに入った。
「じゃあ皆楽しく一杯やってくれ」
 これを合図に男達は席に着いた。そして酒を飲みカード遊びに興じだした。
「ニックさん、バーボンを一杯」
「あいよ」
 ニックは注文のあった席へ向かう。
「こっちは夕食を。何がある?」
「塩漬けの肉ならあるよ」
「じゃあそれを」
 そうしている間にも鉱夫達は次々と店に入って来る。そして席に着き注文をし歌やカードに興じる。
「ふう、いつもながら忙しいな」
 ニックはカウンターに戻って言った。何処かその忙しさを楽しんでいるようである。
「旦那は何を注文しますか?」
 彼はカウンターに座るランスに対して尋ねた。
「そうだな。テキーラを一杯」
 彼はカウンターの後ろに並ぶ酒瓶を見ながら言った。
「わかりました。旦那はテキーラがお好きですね」
 ニックは注文を受けて言った。
「まあな。初めは抵抗があったんだが慣れると美味い」
 彼は前に出された瓶を見ながら言った。
「メキシコの酒だけどな」
 戦争が終わってかなり経つとはいえまだメキシコへの感情は良くなかった。ましてやこの地はかってはメキシコ領である。
「俺もメキシコの連中とは色々あったしな」
「例の盗賊共ですか?」
 ニックは顔を暗くして言った。
「ああ。近頃またこの辺りをうろついているらしいな」
 彼はそう言うとテキーラを一口飲んだ。
「まあ何れ全員捕まえてやるさ。そして一人残らず縛り首だ」
「早く捕まえて下さいよ」
「ああ。このジャック=ランスの名にかけてな」
 彼はこう見えてもこの辺りでは有名な人物のようだ。まあ腕が立つから保安官をしているのだろうが。

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