強さ
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だから早く回復をして!」
案外HPを削られた。半分を割り込んでHPバーが黄色になってやがる
「はいはい」
苦笑いを浮かべながら抱き締めていたシノンを離すと、俺は最初に全員に配布された救急キットを使って回復する。回復速度は遅いが三十パーセント回復できる
二つも使えば全快だ。が顔を真っ赤にしたシノンはどうすれば
「リン……あなた、好きな人に似てるね」
本人ですから
「いつでも私を守ってくれる。……でもそれだけじゃダメ。胸を張って付き合えるようになるにはもっと強くなって隣を歩けるように、一緒に戦えるようにならないといけないんだって私は思うんだ」
シノンは手に持ったヘカート?をギュッと握り締めながらそう言った
「十分だよ……シノン。いや、詩乃」
詩乃、俺がそう言った途端目を見開くシノン。もちろん周囲には聞こえない大きさだが
「今……詩乃って……」
「……間違ってたらすまん。朝田詩乃……だよな?」
「一体……どこで……」
「どこでってなぁ……。詩乃もさっき言ってただろ?いつも守ってくれるって」
そこまで言うとシノンも気付いたようだ。いや、元々薄々感付いてはいたようだが
「俺は鈴木燐だ。詩乃」
「燐……本当に燐なの?」
「ああ……」
ゲーム内で知人に会うというのはかなり確率が低い
驚くのも無理はないだろう
今のアバターもアバターだしな
「なんで……なんでこんなところまで来ちゃうの?」
「え?」
「だってそうでしょう!過去を振り切れて燐に相応しい人になれるような強さを手に入れるためにこのゲームで戦ってたのに。また燐が隣にいたら……また守ってもらったら……弱くなっちゃうよ……」
目に涙を貯めながらそうすがりついてくるシノン
ずっと思っていたがこれまでのシノンは無理をしていた
弱いと思い込んでいる詩乃が強い理想のシノンを演じることによって
「シノンはもう十分強い」
俺がそう言ってもシノンは首を左右に振った
「違う。強いのはシノンであって詩乃じゃない。まだ私はシノンになれてない……」
「シノンも詩乃も同じ人間だ。俺と全力で戦った、な。おまえは十分強いよ。あのソードアート・オンライン攻略組の双剣使い、リンが保証してやる」
俺がそう言った途端涙を流すシノン
「やっぱり燐がそばにいると弱くなる。だって……大会の最中だっていうのに涙が止まらないもの……」
俺はシノンの涙を拭ってやる。やっぱり好きなやつの涙は例え嬉し涙でもあまり見ていたいものじゃないからな
「一人で切り抜けることだけが強さじゃない。だから、もっと他人を、俺を頼れ。そしたら精一杯道を切り開いてやる。過去のしがらみだって俺が断ち切ってやる
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