第六話「気に入らねえ、気に入らねえなぁ……えっ、飴くれる?」
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にも春が訪れたかしら?
私たちをソファーに座らせた部長はレイくんについてイッセーくんに質問する。
「イッセーとレイは普段一緒にいるのよね。あなたから見て、レイはどんな子なの?」
「子供ですね」
即答するイッセーくんに部長や祐斗さんは深く頷いていた。確かに見た目だけでなく精神的にも子供っぽく見受けられましたわ。
「なんっていうか……レイは自分本位で行動してるんですよ。そりゃ誰しもそういった面はありますけど、あいつの場合はそれが顕著だ。好き嫌いが激しい子供のままというか……って、そういやあいつ、まだ十五歳だったな」
「十五歳? 中学三年生じゃない」
「なんでも飛び級したらしいですよ。俺も詳しくは知りませんけど」
「変ね……飛び級した生徒の情報なんて入っていないわ。これは調べる必要がありそうね」
「えっ……大丈夫なんですか」
不安そうな顔で聞くイッセーくん。余程大切なお友達なのね。部長は不安を取り除くように優しく微笑んだ。
「大丈夫よ、調べるだけだから。悪いようにはしないわ ――祐斗から見てどう? 面識あるのよね」
「そうですね、概ね兵藤くんと同じ印象を受けました。彼は良くも悪くも自分に正直です。レイくんの持つ魔力は部長より少ないですが、それでも僕は勿論、朱乃さんを越える程の魔力を有してます。加えて彼の戦闘技術。侮れませんね」
祐斗さんが真剣な表情で彼が座っていたソファーを見つめる。そういえば木場くんは何度か彼と手合わせをしていると聞きましたわね。
「……強い? あなたが剣で負けるとは思えないけど」
「強いですね。毎回軽くあしらわれます。それも余力を残して。一太刀も届きませんよ」
肩をすくめる祐斗さんに私たちは少なからず驚愕を露にした。裕斗さんの剣士としての腕前は兵藤くんを除いてここにいる全員が知るところ。『悪魔の駒』の力を使わなかったとはいえ、祐斗さんが一勝も出来ないなんて……。
「やはり欲しいわね、彼……」
部長が顎に手を当てて言う。確かに彼ほどの逸材は喉から手が出るほど欲しいでしょうね。でもそう簡単にいくかしら?
「正攻法はまず無理だと思いますよ。レイは意外と頑ななところがありますから、一度決めたことはテコでも動きません。何かあいつの気を引けるものがあればいいんですけど」
「気を引けるものね……」
「……お菓子なんかどうでしょう。姫咲先輩、ずっと飴を食べてました」
イッセーくんはお友達なだけあってよく見ていますわね。小さく手を上げる子猫ちゃんに部長は頷いた。
「試してみる価値はありそうね。でも一先ずは様子を見ましょう。
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