追想〜追う鷹、追われる虚構〜
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「お、おいディアベル、何だよそれは?」
沈黙に堪えかねたのか、キリトがディアベルに質問を投げかける。ディアベルは思い詰めた表情のまま
「残念だが事実だ。内通者のプレイヤーネームはグロシュラー上将。たった半年でのしあがった人物で、常に暗い噂が付きまとっていたから俺達も疑っていたんだよ。ようやく尻尾を掴んだってことさ」
「じ、上将!?そんな上層部の人物が内通者なんですか!?」
ホークが驚きの声を上げる。軍の方針で彼らには階級があり、上将は上から二番目、四人しかいない幹部だ。全員が他の追随を許さない程の知略家であり、武闘派の彼らの中に内通者がいるなど良く見抜いたものだ。改めてディアベルの慧眼ぶりに驚嘆してしまった。
「すでにシンカー総統に話はしてある。個室は無理だが軍の共用スペースならどこへ言っても大丈夫だ。しっかり尻尾を掴んでくれよ」
ディアベルからライセンスを貰い、俺達はそれぞれに行動を開始した。
その日の夜。俺達は俺とホーク、キリトとリリーナに別れ行動していた。見回りをかわし、すり抜けながら進む。だが・・・・・・
「貴様!そこで何をしている!」
警備兵の一人に呼び止められた。そいつは・・・・・・今日頭に叩き込んだグロシュラー派の人間!
「少し遅すぎる」
敵が武器である槍を俺達に向けるより、俺が短剣を抜くより速く、ホークが抜き放った片手剣が唸る。真下から跳ね上がる一撃が奴の顎先を揺さぶり意識を完全に奪い去っていた。
「クラディールさん急ぎましょう。これ以上ここにいたら袋叩きに逢うだけです。さっさと駆け抜けた方が得策だ」
「おぉ・・・・・・流石あいつの弟子だな、大したものだな鷹君」
不本意ですが師匠のしごきのおかげですね・・・・・・・と苦笑いしながらも、走る足は一切緩まず気を抜けば追い抜かれそうになる。それくらい、彼の身体能力は高い。時折現れる警備兵は全てホークが処理して(圏内なので殺してはいない。ソードスキルで気絶させるだけである。)くれたので、俺の疲労はほぼゼロだ。乱戦になったら役に立たないと。
ラストの階段を降り、扉を蹴破ると、そこは広い部屋だった。コンパスで描いたような真円の中心からは鎖が垂れており、その鎖で縛り上げられていたのは・・・・・・
「う、うう・・・・・・・うああ・・・・・・」
「「サーシャさん!?」」
最早人語ではなかった。
簡素なインナー型下着だけになったサーシャさんは焦点の合っていない瞳をゆらゆらとさまよわせながら呻き声を出すばかり。手ひどい虐待を受けたのは明らかだった。倫理コードも解除されてしまっているだろう。酷い・・・・・・・何故関係の無いサーシャさんまで!
「彼女ははじまりの街で我々の保護を受けていながら我々に反抗
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