第三話 魔法少女は大変なの?
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Roger Ackroyd』。誰もが知るミステリー界の女王が書き連ねた書物で、詳しい事は言いませんが『なるほど、やられちゃいましたぜ』な気分を味わう事間違いなしな内容の推理小説です。
と言っても、一度和訳された物を読んで内容を知っているので、今回私が注目する部分は謎解きなどの推理要素ではなく、女王の文体はいかなる物なのか、という事純粋な文学的な問題なのですが。
「無理矢理別の言葉に置き換えた物ではなく、その言語や文章からしか読み取れない発見があればいいのですが」
なんて、世界的に有名な女王相手に偉そうに、上から目線の独り言を呟く私は何様なのかという問題は考えない事にして、物語に集中する事にします。
「あやめちゃん!」
だがしかし、駄菓子菓子、突然部屋の中に響いた自分の名前を呼ぶ大きな声によって、私はそれを中断せざるを得なくなりました。
「このゆかりんボイスはなのはですね」
はあ、と小さく溜息を吐きます。
それから床を蹴って椅子をくるりと回して振り向くと、やはりというか、そこにいたのはなのはでした。
「危うく騙されちゃうところだったよ。嘘吐きは泥棒の始まりなんだからね!」
真っ赤な顔のなのはが吠えました。
どうやらご立腹なご様子。
「ちゅーしてあげるって言ったけど今からするとは言ってないんだからねっ!」
「そんなの屁理屈なんだからねっ!」
「屁理屈も立派な理屈なんだからねっ!」
「もう! ああ言えばこう言う!」
「ふぉーえばーあーゆー」
「うにゃああああ!」
取り敢えず、なのはが怒っている姿を見るとおちょくりたくなる本能に従い、茶化しながら適当に返事をしました。
すると、予想通り――いえ、予想以上の反応を見せるなのは。彼女は猫の様に唸りながらじたばたと跳ねました。
「…………はあ」
そして数秒掛けて漸く落ち着くと、小さく息を吐いて項垂れます。
「どうかしましたか?」
「もういいよ……。あやめちゃんに素直な反応とか求めた私が馬鹿だったの」
そう言って、なのはは力無く身体を投げ出すようにベッドに倒れ込みました。
なんだか哀愁が漂っていて疲れている風に見えなくもないです。
「な、なのは、大丈夫?」
そして喋るフェレットに慰められている姿も中々シュールで哀れです。
因みにこのフェレット、念波で助けを求めてきた相手であり、なのはを魔法少女にした人物……じゃなくて動物であり、自分が発掘した危険な魔法文化の古代遺産が地球にばらまかれてしまったので捜しにきた遺跡発掘を生業とする一族の一匹で、異世界から来たというユーノ・スクライアくんとかいうそうです。
助けを求める声を聞いたあの日の夜、なのはが帰ってきてから無理矢理一緒に聞かされた話なのですが、ユーノ・スクライアくんはSFファンやファンタジーファンにとっては面白
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