それは月だけが知っている
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同時刻・御陵屋敷裏庭
大きな月が良く見える裏庭に一人の女性が出て来て、広い裏庭の端にある蔵に向かって歩き出した。
「はぅ〜、昼間に蔵の中で忘れ物をしてしまいました〜。」
そのやや疲労が見られる女性は、女中頭で有り長年御陵一族に仕えているイツ花であった。
「ええ〜と…あっ有りました。さてさて残りの仕事もバァーーンとやっちゃいましょう。
しかし大きな月ですね〜。」
探し物が見つかり、蔵から出てきたイツ花は空にある大きな月を見ていたその時…裏庭の奥から物音が聞こえた。
サッ……ブンッ…
ブンッブンッ………グッ…シュッ…
「一体、何でしょうか?」
イツ花は恐る恐る物音の方針に近づいていった……すると…
「ハァハァ…もっと鋭く…もっと速く……もう一度だ。」
「あっ、若様…こんな時間まで修行しているなんて…。」
(やっぱり、若様は……)
そう、御陵 陣 であった。
彼はご飯を食べてからずっと裏庭で一人…鍛練に励んでいた。
今日、父から教わった事を反芻し…
更に自身の理想の動きが行える様に…
常に最高の自分を想像し、鍛練を行っていた……
「フゥー……やはりまだ理想には程遠いな…続けるか…。」
「なっ!何言ってるんですか!そんな多汗かいていい加減にやめて下さい!!」
さらに鍛練を続けようとした陣にイツ花は慌てて止めた。
陣の身体全身から汗が滴っており長い時間刀を振っていた事が見てとれた。
「もう日付が変わってしまいましたよぉ〜。休んで下さい!」
「もう少しだけやらせてくれ、もっと速く刀を振るえなくちゃいけねーんだ。」
「そんな事言ってもだめですぅ!休む事も修行の一環何ですから休んで下さい。」
「…………。」
「うぅぅーーーー!」
言う事を聞かない陣にイツ花はじーっと睨みながら唸り始めた。
「分かったよ…汗流したら休むよ。…だから、そんな顔すんなよ…。」
流石の陣もイツ花の睨みと唸り声に苦笑しながらも鍛練を終わりにした。
陣にとって、イツ花は自身を取り上げてくれたと言うだけで無く、赤子の頃から数多くの世話を焼いてもらい、オムツも代えて貰った間柄だ…
陣もイツ花の表情に思う所があった為に、しょうがないなと言う思いがあったが了承し片付け始めた。
「しかし若様…明日も修行が有るのに何でこんな夜遅く迄鍛練をしていたんですか?」
「決まってんだろ…今日出来る事を今日やるのが、御陵が先達から学んだ事だろうが。」
イツ花の疑問にも陣は寸分の狂いなく答えイツ花をアッとさせた。
かつて朱点童子と戦ってきた歴代のメンバーは短
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