暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
戦前のひととき
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を刈り取る。

周囲の敵を手っ取り早く一蹴してから、軽く一息ついてから周りの状況を素早く確認する。

そして改めて、認識する。

奇襲したのはこちらではなく、相手だった。こちらが囲むはずだったのに対して今、包囲しているのは相手だ。完全に作戦が読まれていた。

やはり内通者がいたのか? いや、それはPoHの手口ではない。

PoHの手口からすれば──そう、最初からこの予定だった。

ワザとアジトの情報をレンに流し、こちらが戦いに来るのを待つ。PoHなら絶対にそうする。殺しを快楽にするあの男だったら迷いなくできる。

状況は最悪に近い。

攻略組プレイヤーといえども人だ。奇襲には弱い上、犯罪者プレイヤーは毒を使うことが多い。事前に耐毒ポーションを飲んできたとはいえ、それを上回るような毒を使われ、状態異常を起こしているプレイヤーがちらほら見えている。このまま戦えばこちらが勝つだろうが、犠牲が多い。

「よお冥王様よォ! 入団しねぇかー?」

「ボスはお前を歓迎するらしいぜェー!?」

一閃。

レンはその質問には答えず、ハッ!と鼻で笑い、腕を振るう。

ごろごろん、と足元に転がった上半身や生首どもに、ゴミを見るような視線を浴びせかけてから、レンの口元が歪む。

作られる感情は、《笑み》。

引きちぎられるような笑みがレンの口元に浮かぶ。

哄笑。

狂笑。

嘲笑。

どれかは自分でもわからないが、しかし自分の表情が表しているものは知っている。

それは――《嗤い》。

「レン!」

少し離れた場所から軽い跳躍で近づいてきたユウキが合流する。ヴォルティスやシゲさん、テオドラも犯罪者プレイヤーを地面に叩きつけた上で、足で踏んで動きを抑え込んでいるのが見える。

「おとなしく投降してよ!」

ユウキが悲鳴のようにがそう言うが、返答の代わりにラフィン・コフィンのプレイヤーが懐から取り出したのは、毒々しい色に濡れる短剣(ダガー)………。

「ひゃっひゃっひゃっ」

「ッ!」

男がダガーを振り上げるよりも早く、首を跳ね飛ばす。

瞬間的に手足とのリンクが断たれた男はもう何もできないが

「俺たちが、死を怖がるとでも……?」

そう告げて、幾千のポリゴンの欠片となって砕け散る。その言葉でこの状況が更なる地獄に叩き落されることが確定した。

ここにいる多くのプレイヤーは、人を殺せない。

ユウキと合わせた背中から震えが伝わってくるのが解る。説明や理解を求める暇はない。そして聖人であるつもりはない。

ただ──

「ユウキねーちゃん」

ただ──

「ヴォルティス卿に一時撤退を通達して」

ただ──

「僕が殺る」

「ま、
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