暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
戦前のひととき
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ラフィン・コフィンのアジトはそう遠く離れた位置にはなかった。
歩いて一時間、その程度の距離の場所にあった。森の中に続く林道、その奥に洞窟はあり、森の木々をカバーに使いながらスキルで接近する。作戦の成功は奇襲の部分にかかっている。なるべく音も気配も殺し、洞窟を囲むように陣取る。
アイコンタクトで暗闇の中でもよく解かるシルエットのヴォルティスがサーチ役のプレイヤーに指示を送る。まずは中の偵察を索敵スキルとが高いプレイヤーに任せ、そして中を確認できたら一気に突入し、一斉に確保。
それが基本的な作戦となっている。
だが、何か嫌な予感がする。
それは首の裏がチリチリするような、誰かに殺意を当てられているような感覚。
それはこの上なく懐かしい感覚。自然と顔がほころび、《鬼》が顔を出す。
だが、そんなことより重要なことに気付き、戦慄する。
「ッ! 見張りがいない……!」
そうだ、ラフィン・コフィン程優秀な犯罪者ギルドがアジトの前に一人も見張りを置かないのはおかしい。事前に使った索敵スキルでは隠蔽状態のプレイヤーも見つかっていない。それに、あのPoHが簡単にアジトの侵入を許すはずがない。
「………卿も気が付いたか」
隣をゆっくりと歩いていたヴォルティスが、小声で話しかけてくる。
も、ということは、ヴォルティスもこの異常さにうすうす気付き始めたということだ。そして、レンが頷くと、ヴォルティスはさらに隣を歩くシゲさんと頷きあう。
嫌な予感がした。
最悪な状況を思い浮かべる。
強い殺意の塊に体が反応するのと、ほとんど同時に誰かが叫ぶ。
「罠だァー!!」
言葉が耳に届くよりも早く、六王はそれぞれ動いていた。
無論レンも。
腕を振るい、真横から突如現れたプレイヤーに凶刃を叩き込む。
何の抵抗もなく首が飛んだその名も知らぬ殺人者のことは、もうレンの意識の隅に追いやられていた。今、レンの身体を突き動かすのは、紛れもなく《コロシアイ》への快感へとシフトしつつあった。
かつて、己を守ってくれた女性が封じてくれた《鬼》が、徐々に身体を侵食してくるのがはっきりと知覚できる。
背後にいた顔だけは知っている攻略組プレイヤーを拳で弾き飛ばし、彼のいた背後の空間に片腕を振り回す。
確かな感触と共に、凶刃を送り出した空間に上半身と下半身がお別れしたプレイヤーの姿が現れる。
「さ、サンキュ──」
助けてやったプレイヤーは、礼の言葉を言おうとし、隙が生じた。その隙に付け込まれ、またもや背後から出てきたプレイヤーに首を刎ねられた。
ごろりと転がった生首に特に何の感慨も湧かずに、レンはただただ新たに出てきた敵の命
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