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ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
SAO
〜絶望と悲哀の小夜曲〜
戦前のひととき
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らせない。いや、逸らせないようにされている。
「我がいては不足だと………?」
「い……いや、そんなことは………」
にやり、とヴォルティスは笑う。さながら獰猛な肉食獣のように。血に飢えた獣のように。
「心配をするな。卿がいないのなら、我がその開いた穴を埋めれば良いだけの話ではないか」
その言葉を聞いて、おそらくその場にいた全員が思った。
嗚呼、こいつ問題を全部力技で切り抜けてきたクチか、と。
「それでは作戦を練ろうか」
「レン君!」
ぼ〜っとしていたせいで、周囲に気を付けるのが鈍かった。
ハスキーな声で、我に返る。
「………アスナねーちゃん」
声に覇気が無いのが自分でも解かる。自分にも解かるというのだから、当然アスナにも解かったのだろう。ヘイゼルの瞳が、覗き込んでくる。
この前の事件以降、妙に馴れ馴れしい。正直、これまで自分を嫌っていた人物が急に手のひらを返したように好意を寄せてくると、引く。
結構引く。
とんでもなく引く。
それが異性となればなおさらだ。
「大丈夫?」
「う、うん。大丈夫、疲れただけだよ」
軽く頭を左右に振りながら、そう答える。
アスナはそう、と若干安堵した様子を見せ、訊ねてきた。
「ねえ、会議はどうなったの?」
それを聞き、一瞬頭に葛藤が走るが、まあさすがにアスナはスパイではないだろうと考え、口を開く。
もちろん念には念を入れ、周囲への警戒とアスナへの口止めは忘れない。
「…………明日の午後十時に、ここの転移門広場に集合だってさ」
「明日!?は、早いわね………」
まあ確かに早いとは思うが、スパイを見つけられなかったこの場合、早いければ早いほど良い。
「まあ、奇襲の意味合いが強いからねー」
そう言いながら、手近にあったベンチによっこらせと腰掛ける。アスナも隣に座る。
しばらくの間、地面に着かずになんとなくプラプラさせている自分の足をぼんやり見ていたが、言う。
「奇襲、か。………ねぇレン君、今回って本当に話し合いで解決できないの?」
「できないよ」
即答だった。これ以上ないくらい。
アスナがこちらを見てくるが、それを無視し、宙空を見つめる。
「アスナねーちゃん、あいつらにそんな生温い手段が通用すると本当に思うの?」
「それは………」
地面を見ていた視線を上げ、隣のアスナに合わせる。その瞳は揺れ、内心の動揺を現しているかのようだった。
「僕の読みだと、今回の作戦はたぶん失敗すると思う」
「えっ!な、なんで!?」
「それは………」
そこで言いよどむ。それを言ってしまったら、せっ
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