第九話 床抜、実行
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れたような白い研究所らしき建物であった。
『誠也。目の前にあるのが事件現場のスクライア第三研究所だ。S級ロストロギアはこの建物の最奥にあるらしい。』
「了解!」
全身に身体強化をかけ、全力で走りだす。
その速度は十キロをわずか二、三分で駆け抜けるほどだった。
「ここが入口か………。こちら高町誠也。これより事件現場に入る。」
『了解。ただ、建物内には通信妨害の結界も張られている。こちらからの支援はないと思え。』
「了解。」
誠也は入口の扉を開き、内部へ潜入する。
そこにあったのは長さ一、二キロもある長い廊下だった。
その両脇には多くの扉があり、いくつかの扉を開くと、そこには生活感あふれる光景があり、ここで多くの人が生活していることをうかがわせた。
誠也はそこを慎重かつ迅速に駆け抜けていく。勿論全ての扉を開くのも忘れない。
ただ、そこには特に階段があるわけではなく、しかも戦闘音も聞こえてこない。
「くそ……。一体どこにあるんだ……。」
転移妨害の結界が未だに張られている時点でまだ戦闘は完全に終了していないはずなのだが、その肝心の戦闘音が全く聞こえてこない。
そして先ほどから長い廊下の全ての扉を開いてもそれらしいものは一切なく、しかも階段のようなものすらどこにもない。
施設の全容が分かっていないと完全に詰みの状況だった。
「通信妨害がなければ何とかなるのにっ……。」
このような重要な研究がおこなわれている研究所の設計図と言うのは違法組織でない限り管理局に提出するのが義務であるため、オペレーター側と通信が可能ならば、建物内部のスキャンに解錠コードの解析など様々な手段をとることができた。
「仕方ない……。レイジングハート、WAS起動。」
『All right. Wide Area Search.(了解。広域探査起動)』
レイジングハートの紅い宝玉の部分から桜色の波動が溢れる。
その波動は床や壁を貫通して、建物内の状況を誠也に伝えていく。
「よし!」
その結果、戦闘場所は地下100メートルほどで、戦闘はほぼ遺失物管理課側の敗北でほぼ終了。一部の管理局員が誠也の存在に気付き、転移妨害の結界を維持しているという状態であった。
テロリスト側も転移妨害の結界のため転移ができず、また目的となるS級ロストロギアを厳重封印した上で、外部魔力を遮断する箱に入れているところであった。
「レイジングハート、床抜、行くよ!」
床抜
これもまた高町家に代々伝わる狙撃法の一種である。
曽祖母がJ・S事件において壁越しの離れた相手に自らの砲撃で壁をぶちぬいて狙撃したことに由来する業である。
その武勇伝を聞いた誠也の祖母が息子や孫に伝え、その結果高町家の伝統の業の一つと化してしまった。
なおこの業にはきちんとした適性を必要とするが、誠也に
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