Silent 60'S Mind
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白鷺のような少女だと、久しぶりに出会った僕は思った。バスターミナルのベンチから杜王町の田園風景をじっと眺める姿がそう見えた。すらりとした体型と、育ちのよさそうなピンとした背筋がそう思わせたのかもしれない。彼女の纏う白地のケープはまさに折りたたまれた羽だ。
僕が少女を初めて見たのは、彼女がまだ生まれて間もない赤ん坊の頃の事だった。彼女からしてみれば、僕とは初対面になる。赤ん坊の頃の事を覚えている人はいないだろう。
奇妙な話だけれども、僕は彼女の『顔』を見た事はなかった。僕の友人も、彼女の『顔』を直接見た人はいないだろう。
僕は今日この日を楽しみにしていた理由の一つだ。他にもいくつかあるけれど、彼女の『顔』を見る事が一つ。
彼女は僕のイメージ通りのままだった。もちろん、背格好の話ではない。僕の中の彼女のイメージは、サングラスだった。赤ん坊の時にかけていたからだ。当然理由もある。それは誰も『顔』を見た事がない理由にも繋がる話だ。
十三年も前になる。僕はひょんな事からとある事件に巻き込まれ、奇妙な能力を手に入れた。細かい事は省かせてもらうが、とにかく、普通では体験できない経験だった。
赤ん坊だった彼女に出会ったのも、その事件の一環ともいえる。
十三年前の杜王町にはある物が存在していた。【弓と矢】。事件の中心ともいえる代物だ。
形状は至って名前の通り。年代物といえるくらいには古い物だった。
大事なのはこの【矢】に突き刺された者は不思議な能力を得る、という事だ。
困った事に僕も矢を刺された事がある。そのおかげでこの力に目覚める事が出来た。
Stand by me. 傍に立つ者、【スタンド】と呼ばれる能力だ。
僕には音に類する能力がある。そして、十三年前、杜王町にはたくさんのスタンド使いが生まれた。
話を戻そう。彼女は恐らく、その一連の事件の中で生まれた赤ん坊のスタンド使いだった。
透明の赤ん坊。
それが彼女の能力だった。自身と、果ては周囲の物まで透明にする能力。彼女はその能力で常に透明となっていた。故に僕たちは彼女の素顔を知らない。透明だった彼女を見つけたのは、今の彼女の養父、ジョセフ・ジョースターその人だった。
透明な彼女を可視化するために衣服と、周囲に不信に思われない為にサングラスをかけた赤ん坊。それが彼女。
ベンチに座った彼女を見る。つくづく十三年とは長い年月だと感じた。今の彼女は中学一年生といったところか。女の子は男の子より成長が早い。身長の低い僕よりも、彼女のほうが身長は高そうだった。待ち合わせの午前十時よりちょっと前。僕のほうが遅かったけど遅刻ではない。さて、まずは挨拶だ。
「こんにちは」
声を掛けると、彼女はゆっくりこちらを向いた。
「静・
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