Silent 60'S Mind
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いでいる。
そんなトカゲ男の様子を僕らはしばらく見続けている。一体いつまでこうしているつもりなのか。どう考えても今のうちに逃げるべきだ。透明になる能力しかないお嬢様が戦える訳がない。そうしたら、戦うのは僕じゃないか。一緒に戦ってほしい? 冗談じゃない。代わりに戦えと言ってるようなものだ。
どうするか考えていると、ブロロンとエンジン音が遠くから聞こえてきた。……ハーレーのエンジン音だ。だんだん近づいてくる。カバンの傍でハーレーは止まった。ドルドルドルドル。どう考えてもあいつが本体だ。日本人じゃない。ピンク色が痛々しい短髪の男だ。男の声がエンジン音に紛れて聞こえてくる。
「女の荷物。俺のラブ・ポーション#9じゃ開けられなかった。もともとパワーなんていらねー能力だったのにこういう時に不便だと気づかされたぜ。カバンを捨てたのは男のほうだ。女じゃない。女が捨てたのなら大事な物が入ってないと分かる。だけど男。何も伝えてなかったから間違えて捨てたなんて事もあるかも知れねぇ。可能性は潰しておかないといけない。一つ一つ潰して最後の可能性まで潰す。チェックメイトとはそうやって掛けるんだ。マヌケにはできねぇ」
男はポケットから小さな折り畳みナイフを取り出した。鍵をこじ開けるつもりのようだ。少しの間、ナイフをカバンの鍵付近に突き立てていると、ようやくカバンを開けた。思うが、カバンの中身はお嬢様の衣類だと言っていたけど、知らない男に漁られるのは恥ずかしくないのだろうか。下着もあると言っていたのに。
「――布だけじゃねーか。何にも入ってねぇ! 肩身離さず持ってやがるのか? 可能性はあと幾つある。女が持ってる、男が持ってる、女が隠した。ダーメだいっぱいあるじゃねーか! 俺はマヌケだ!」
男がカバンを放り投げた。お嬢様の衣服が舞った。サイテーな奴だ。僕たちの足元まで服が飛んできた。
「糞……あの男はスタンド使いだった。厄介だ。護衛か? もしかして女もスタンド使いか? クライアントは何も教えてくれなかった。しらねーっていう可能性もある。あいつらは逃げたのか? 俺がカバンを見てる間にどこまで行ったんだろうな。走って逃げたな。まだ追いつくか。いや、タクシーを拾う可能性もあるか。どこに逃げたか分からなくなったな。面倒臭くなっちまった」
男はブツブツと独り言を良いながら考え込んでいた。
「ん? んー? うん、手がかりがある可能性を見つけた。俺はマヌケじゃねーかも知れねえ。でかしたぞラブ・ポーション#9!」
びっくりした。カバンよりも遠くに止まっていた筈の僕の車が動いて近づいてきていた。
見るとあの男の小さなスタンドが僕の車を持ち上げている。どういう事だ? アイツのスタンドはパワーが弱いんじゃないのか? 僕の車を持ち上げている
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