Silent 60'S Mind
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ぬつもりがないからこそ戦うんです。逃げても隠れても駄目なんです。立ち向かわなくちゃいけない」
この子は何を言っているんだ!? 状況を分かっているのか!?
「広瀬さん。私のカバンを捨ててください。走るのに邪魔なカバンを今すぐに。悟られちゃ駄目です。あたかも邪魔だから捨てるように」
「え?」
「早く」
「え、え〜い! どの道逃げるんだから! 大事な物とか入ってないよね? 物が壊れても知らないよ!?」
抱え込んだカバンを投げ捨てた。ドスンと音を立てて道の脇にカバンは倒れた。悟られるなだって? 何を考えてるんだ?
「大事なのは把握する事です。相手が何を考えているのか。相手の目的は何なのか。私の命か、それとも別の何かなのか、まずは把握する事が大事なんです」
そのまま走り続けると、カバンが落ちた所まで敵スタンドは走ってきていた。カバンを通りすぎるか、と言ったところで、敵スタンドは停止してしまった!
「カバンを見つけたみたいです。足を止めた。私たちを追っていた筈なのに、追うのをやめた。つまり敵の目的は私のカバン。私の持つ『何か』が欲しくて襲ってきたという事」
「何か? キミは何かを持っているのか?」
「いいえ。でも、何かを狙っている。私にも分からない何かを。カバンの中には衣類しか入っていない。上着とスカート、パンツ、靴下、ブラジャー、ショーツ。まさかそんな物がほしい変態さんだとは思えない。何かを持っていると思い込んでいるんです。カバンの中に目的の物がなければ、今度こそ私たちを追ってくる。広瀬さん、手を繋いでください。どこにいるか分からなくなっては困ります」
「え? え?」
強引にぎゅっと手を掴まれると、彼女は立ち止まった。
「アクトン・ベイビー」
彼女が言うと、彼女は途端に目の前から消えてしまった。しかし手を握られている感触はそのままだ。透明になる能力。彼女は赤ん坊の頃からこれを使えた! 僕の体を見てみると、僕も透明になっていた。自分の体が見えないなんて、ちょっと不思議な光景で気持ちが悪い。
「透明になって観察しましょう。ときどきやるんです。透明になって観察すると、以外な物が見えてきます。ひっそりと、息を潜めて。私たちは空気です。誰も私たちを見る事はできない。草を踏まないようにしてください。アスファルトの上に立って。じゃないと足跡を見られてしまう」
何なんだ。本当にただのお嬢様なのか? チグハグすぎる。男の僕よりも早く覚悟を決めている。襲われる事を想定していた? でもさっきの反応はまさかと言った感じだった。意味が分からない。
9番の描かれた小さなトカゲ男の形をしたスタンドは、カバンの回りをぐるぐると回っている。何度か開けようと試みているが、鍵を開けるパワーがないのか、開ける事が出来な
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