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Silent 60'S mind
Silent 60'S Mind
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倒を見る、という期限も決まっていない不確かな事を引き受けられたのは、ジョースターさんから仕事として依頼されたからだった。彼からしたらお小遣いかチップをあげるような気持ちだったかも知れないが、そうじゃなければ気軽に引き受けられなかったと思う。

「所で、承太郎さんは元気? 僕は全然会えてないけど、静さんはどうかな」
「――空条おじさんはいつもお仕事で忙しくしています。私もあまりお会いしません。でも、元気だとは思います。ただ――」
 彼女が言い淀んでしまった。何かあったのだろうか。彼の事だ。また何事か事件に巻き込まれているのかもしれない。
「空条おじさんのお嬢さんが逮捕されて裁判に掛けられたと聞きました。今はそちらの関係で慌しくしています」
「た、逮捕!? ……それは、なんといっていいやら。というより子供いたんだ……」
「私も詳細は知りません。親子仲もよくなかったと聞いています。今、スピードワゴン財団もそちらのほうに力を貸しているようです」
「……へぇ〜。ううん。その子は幾つくらいなの? 静さんよりも下だよね?」
「いいえ、私より六つ年上です。今は十九歳だったかと」
「ええ!? び、びっくりだ。という事は僕が承太郎さんと知り合った時には娘さんがいたのか……」

 そんな話は何一つ聞いていなかった。風貌からしてかなり若い印象の男性だった。私生活が謎めいていたのも家庭を持っている、というイメージとはかけはなす要因の一つに思う。そうか、あの時には六歳の娘がいたのか……。なんだかショックだ。

 僕は実の所、ジョースター家について何も知らないのかも知れない。聞けばもっとびっくりするような事が飛び出してくるのかも、と少し怖くなった。そもそもスピードワゴン財団と密接に関わっている理由も僕は知らない。あまり聞かないほうが幸せかも。
 そんな事を考えていると、車がガタンと大きく揺れた。話に夢中で何かに乗り上げたのだろうか。お嬢様が小さくきゃッ、と悲鳴を上げた。何とも可愛らしい事だ。

「ごめんごめん、道路に出っ張りでもあるのかな、運転に集中するよ」

 平坦な土地の多い杜王町の風景は、車で走ると気持ちが良いときもあるが、代わり映えのない風景は退屈にも繋がる。都会の詰まるような道路は考えるだけで辟易するが、一度くらいはそういう所も走ってみても良いかも知れない。でも今は、この代わり映えのない道を楽しもう。
 法定速度を守りながらアクセルを踏む。すると、ヘソの下が浮き上がるような感覚が生まれた。

 ギョっとした。浮いている。シーソーに乗って浮き上がるような感じ。アクセルを吹かしただけで? 何かに乗り上げた? 違う、ちゃんと前を見ていた。何か乗り上げる物もなければ、道路も綺麗だった。動物が飛び出して轢いた訳でもない! なのに前輪が浮かんでい
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