第二十二話 黒姫からの警告
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見てください」
そう言うとアルントは胸の内ポケットから封筒を取り出した……。
帝国暦 489年 6月10日 オーディン 帝国宰相府 アントン・フェルナー
「卿ら三人が私に用とは……、何か厄介事が起きたようだな」
ローエングラム公が眼の前に居る三人を見ながら言った。俺、フロイライン・マリーンドルフ、そしてオーベルシュタイン中将。中将は元々だが俺とフロイライン・マリーンドルフも顔色は良くないだろう。人払いをしたうえで顔色の悪い部下が三人、それを見ればどんな馬鹿でも厄介事が起きたと想像がつく。
それにしても妙な面子だ、現在と過去の総参謀長経験者が集まった。まあ俺は代理だったが……。
「それで、何が起きたのだ」
オーベルシュタインが俺に視線を向けた。お前が話せ、そんなところか。フロイライン・マリーンドルフに視線を向けた。彼女は沈黙している、変な弁解はしないということだな。つまり、俺か……。気が重いな、どんな結末になるかは想像がつく……。
「明後日のキュンメル男爵邸訪問はお取り止め頂きたく思います」
「どういう事だ、男爵に不都合でも生じたのか」
公が訝しげな表情をし、そして気遣わしげな表情でフロイライン・マリーンドルフを見た。彼女の顔色の悪さから多分男爵の健康が悪化した、或いは死に瀕している、そう思ったのだろう。それなら良かったんだが……。
「そうでは有りません、キュンメル男爵邸に赴けば閣下の御命が危ないという警告が有りました」
「……それは男爵が私を殺そうとしている、そういう事か?」
「はい」
どうにもピンと来ない、そんな顔だな。まあいつ死んでもおかしくない病人が自分を殺そうとしている、そう言われてもピンと来ないか……。
「その警告というのは信用できるのか? いや、卿ら三人がこうして押し寄せたのだ、信用できるのであろうな」
運命の一瞬、だな。
「警告は黒姫の頭領からのものです」
「……」
……そんな睨まなくても良いだろう。エーリッヒは敵じゃないぞ、少なくとも危険だって身を案じているんだから喜んでもいいと思う、心配してくれて有難う、とかって思うのは俺だけかな……。空気が重いわ、なんでだろう……。
「どういう事だ、何を言ってきたのだ、黒姫は」
口調が普通じゃないんだよな、妙に粘ついてるっていうかスカッとしないって言うか……、溜息が出そうだ……。
「キュンメル男爵が或る組織に使嗾されていると黒姫の頭領は言っています」
「組織? ……それは?」
オーベルシュタインとフロイライン・マリーンドルフを見た。二人とも俺と視線を合わせようとしない。孤立無援ってのはこの事だ、ギュンターにも来てもらえば良かった……。
「地球教です」
「地球教?」
「そうです、地球教がキュンメ
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