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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第二十二話 黒姫からの警告
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うだぜ』
「医者か……」
『熱心に通っているところを見ると親切な男なんだろうな、良くお参りもしているみたいだし……』

「お参り?」
『ああ、その医者、地球教の信者らしいんだ、良く地球教の教団支部に行っているよ。医者とかってのは人の生死に関わるから信心深くなるのかな』
地球教か……。妙なもんが引っかかって来たな。

「フレーベル、その医者を見張るんだ」
『医者を?』
「それと地球教の教団支部、こいつも見張れ」
『爺さん、地球教に何かあるのか?』
フレーベルが訝しそうな表情をしている。ふむ、少し話しておくか。

「フェザーンでな、ちょっとばかし妙な話が有った。ルビンスキーが地球教の坊主となにやら話し込んでいたらしい、半月ほど前の事らしいがな。ちょっと引っかかるだろう」
フレーベルがちょっと首を傾げた。
『ルビンスキーと地球教の坊主か、……考え過ぎって事はねえかな、爺さん。それは半月ほど前の事だろう。その医者がキュンメル男爵家に行くようになったのは随分と前の事だ、確か去年の暮れだぜ、一応調べたんだ』

去年の暮れか、フレーベルの言う通り確かにかなり前だな。しかし金髪の覇権が確定した後でもある、お嬢さんはもう金髪の傍にいた……。キュンメル男爵に利用価値は有る、いや利用価値が出てきたところだ。偶然と考えるには少々きな臭過ぎるな。

「かもしれねえ、しかしこうも考えられるぜ、フレーベル」
『……』
「フェザーンと地球教にどんな関係が有るのかは知らねえが、オーディンにあるフェザーンの弁務官府は帝国やウチに見張られていて身動きが出来ねえ。という事で代わりに地球教が動く……。どうだ、万一の事が起きてもフェザーンを疑う奴はいねえぞ」

フレーベルが唸り声を上げた。眼付が変わってきたじゃねえかよ、フレーベル。良い眼だぜ、ようやく獲物の臭いを嗅ぎつけた猟犬みてえな眼だ。
『見過ごす事は出来ねえ、そういう事だな、爺さん』
「そういう事だ、フレーベル。もしかするとフェザーンは奥の手を出してきたのかもしれねえ、切り札をな」

フレーベルがまた唸り声を上げた。
『分かったよ、医者のことを調べてみよう。先ずはどういう経緯でキュンメル男爵家に入り込んだのかだな。それと地球教団の支部にも人を付ける。それでいいかな、爺さん』
「ああ、十分だ。抜かるんじゃねえぞ、フレーベル」
『分かってるよ、きっちり調べるぜ』

どうやら親っさんの読みが当たったかもしれねえな。後はフレーベルが何を見つけてくるかだ。さてと、俺は赤ビールに戻るとするか、どうやらビールが旨く感じられそうだぜ。ポテトのパンケーキもな。



帝国暦 489年 6月 8日   オーディン  ギュンター・キスリング



仕事を終え、国家安全保障庁から地上車で
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