第11話 蒼い少女
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、じっと俺を見つめた後、コクリと小さく首肯く。
……この娘も人付き合いが苦手なのか、それとも慣れていないのか。どちらにしても、この世界に来てから出会った少女は、すべて、某かの問題が有る少女ばかりだと言う事ですか。
但し、長門と、この万結の二人は生物的に言うなら人間ではなく、さつきは有名な家系に連なる術師。涼宮ハルヒと言う名の少女は、見た目は未だしも、精神の部分に問題が多そうですから。
しばらく俺を見つめた後に、神代万結と名乗った非常に儚い印象の少女は、踵を返して、公園から立ち去る。
ほんの少しの記憶だけを残して。
さて、そうしたら、今晩はこれからどうしますかね。
そう考えながら振り返る俺。
其処には、月明かりに照らされた少女が、何か微妙な雰囲気を纏って、俺を真っ直ぐに見つめて居た。
………………。
…………。
何故か、真っ直ぐに俺を見つめたまま、視線を逸らそうとしない長門。
まして、この感覚は……。
「何か、俺に言いたい事が有るのなら、言ってくれて構わないんやで」
そして、動こうとせずに、オマケに真っ直ぐに俺を見つめると言う行為を止めてくれたら、それだけで、俺は嬉しいのですが。
俺を自らの瞳の中心に映して居た長門が、少し考えた後、しかし、首を横に振った。
この反応は、長門自身が何に対して違和感を覚えているのか判っていないのか。それとも、理由は判っているけど、俺に対して要求する事が出来ないだけなのか。
ただ、彼女が望んだとしても出来る事と、難しい事が有るのですが……。
それは、
「さつきや、万結は名前を呼んで、何故、長門さんだけ苗字を呼ぶのか。その部分に引っ掛かりが有る、と言うんやろう?」
俺の問いに、少し間を置いて、彼女は微かに首肯いた。
確かに、出会った少女たちの名前を呼ぶ度に少し微妙な気を発せられたら、直ぐに違和感の正体など気付こうと言うモノなのですが……。
ただ……。
「長門さんの名前を呼ぶのは少し難しい」
他の名前ならば問題は有りません。但し、彼女の名前は問題が有ります。
「理由の説明を要求する」
口調はそれまでの彼女のままで。但し、このタイプの台詞は初めて。
今までは、俺のどんな荒唐無稽な説明も簡単に受け入れて来た彼女にしては、初めて、俺の言葉に対しての拒絶に近い感情を示したと言う事ですから。
まして、これは怒りだけとは違う。何か、哀しさを孕んでいるかのような、彼女が纏う独特のペシミズムと言う雰囲気だと思いますし……。
もっとも、先ほど出会った神代万結には、万結なりの。相馬さつきには、さつきなりの、彼女ら独特の雰囲気と言うモノを感じては居たのですが。
「長門さんの
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