Mission
Mission7 ディケ
(2) イラート海停~イラート間道~ハ・ミル村入口
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「――まあな」
エルとユティをあっというまに両傍らに控え『させた』、浅黒い肌と紅玉の虹彩が目を射る益荒男。エルが「王様」と呼んだ通り、彼は本物の王、リーゼ・マクシア統一国王ガイアスその人なのだ。
ガイアスはエレンピオスの実情を視察するため、アースト・アウトウェイを名乗って市井に潜り込んでいる、いわば「お忍び中」である。
今回の任務のことをルドガーは連絡していないから、おそらく宰相のローエンから聞きつけたか、あるいは以前のようにクランスピア社に押しかけたか。後者は考えたくないルドガーである。
「ようやく揃ったか」
イライラと腕組みで指を打つリドウは、何故か大きめのサングラスをかけていた。
リドウに随行していたイバルが、ルドガーの斜め後ろに立つミラを見るなり、ぱあっと顔を輝かせた。
「ミラさ……っ」
だが、イバルはすぐにはっとし、急いでしかめっ面を作る。
「お前も来たのか、紛らわしい!」
後ろにいるのにミラのまとう空気にヒビが入ったのがはっきりと分かった。
べちん!
「〜〜〜! 何をする貴様ぁ!」
仲間たちが一様に面食らっている。ルドガーがイバルの顔面に平手を直角に打ち下ろしたからだ。
「悪い。顔にでかい羽虫がいたもんでつい」
「嘘をつくな嘘を!! この時期の海辺に虫がいるものか!」
イバルから顔を逸らすと、ちょうどミラと目が合った。ミラはバラ色の目をまんまるにし、ふいと顔を逸らした。
(別に礼が欲しかったわけじゃないんだからいいんだけどさ)
「ね。何でリドウ、変なメガネかけてるの?」
エルがこそっとイバルに尋ねた。それはルドガーも知りたかったので聞き耳を立てる。イバルはしゃがんでエルと目線の高さを合わせて答える。
「足跡を隠してるんだよ。ユリウスに逃げられた時、踏んづけられたんだとさ」
「ぷふっ! 見たい〜」
「笑えるぞ」
(さすが我が兄というか。土壇場の反撃の雑さはおんなじだなー)
「捜索を始めるぞっ」
「了解であります、室長!」
ユリウスの捜索は、二手に別れて行うことになった。
ジュード、レイア、アルヴィン、ローエンが街道の西。
ルドガー、エル、ユティ、ミラ、エリーゼ&ティポがハ・ミル方面。
ガイアスは海路を捜索するリドウとイバルに同行することになった。
メンバー分けもすんでいざ出発、という時になって声を上げた者があった。ユティだ。
「はいはーい。このパーティー編成はとても偏ってると思いまーす」
「偏ってる?」
「偏ってる。よろしくない。実によろしくない。よってメンバーチェンジを要求する」
ユティはエリーゼの両肩を掴むと、戸惑うエリーゼに構わ
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