アインクラッド 前編
経験は毒針に
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、ラストの出現まではまだ少し時間がありそうだ。そう考え、マサキはトウマ、アスナと合流し、そしてここで、キリトがいないことに気付く。
マサキがもう一度ぐるりと辺りを見回すと、三人から少し離れたところにその姿が確認できた。が、キリトは何やらキバオウと話し込んでいる。
――汚い立ち回り、LA。
キリトとキバオウの談話を発見したマサキは咄嗟にキバオウの唇を読み、いくつかの単語を聞き取ることに成功するが、何の話かまでは聞き取れた部分が少なすぎて判断がつかない。横からトウマとアスナが、向こうに行くべきかと視線で問いかけてきて、マサキは無言のまま目を閉じ、ゆっくりと首を横に振って答えた。
その後、ラストのセンチネルが出現したと同時に、キリトはこちらへ合流した。アスナが先ほどの会話の内容を質問するが、キリトは静かに首を横に振るのみ。
とりあえずは自分たちの役割を遂行しようということにして、最も近くにいた一体に刃を向けて走り出そうとしたところで――、
キリトが不意に立ち止まった。線の細い顔には明らかな動揺と困惑が滲み、両目は視界内で起きた事象の情報を少しでも多く捉えようとするかのように見開かれている。マサキが顔を動かすと、なぜかトウマも同じリアクション。不審に思ったマサキが彼らの視線を追いかけると、そこにあったのは今までと同じイルファング対メイン部隊の主戦場だった。
――いや、違う。
マサキの脳は超人的な記憶力を以って数分前までの画像と今の画像とを照らし合わせ、相違点を洗い出した。即ち、ボスの持っている武器である。先ほどボスの残HPゲージが一本のみになり、その結果、ボスが暴走状態に突入。攻撃パターンに変化が生じたためだ。
しかしそれが何なのか、マサキは分からなかった。元々、ボスのHPゲージが残り一本になった時、イルファングの武器はそれまでの無骨な骨斧から湾刀へと変化することは“アルゴの攻略本”にも記載されており、その事実は彼らも知っているはずだ。だが、二人の驚きようは明らかに常軌を逸脱している。マサキはもう一度、探るような視線をイルファングに向けた。
(……やはり他に以前との変化はない。二人の思い過ごしか? だが、あの顔はどうもおかしい。何かありそうだが……)
その時、マサキの脳裏で、チリッとスパークが弾けた。今まで感じていた違和感が徐々に形になって浮上してくる。マサキはさらに目を凝らして二人の驚愕の原因を探ていき――、ある一点で目が留まった。
(――いや、待てよ? あの武器は……!)
湾刀と称するにはあまりにも薄い刀身を持ち、その刀身から放たれている光は、間違いなく鍛え上げられた鋼鉄のみが持つものだ。つまりあの武器は湾刀などではなく――、
「刀…
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