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真似と開閉と世界旅行
Yui-MHCP001〜
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キリトさん、アスナさん、コウハさん、サキさん」

・・・その言葉を聞いて、俺は複雑な気持ちになった。


「・・・」

ユイが話したのは、この世界は《カーディナル》と呼ばれる巨大なシステムが制御しているということ。カーディナルは二つのコアプログラムが相互にエラー訂正を行い、人によるメンテナンスを不要とするらしく、ここの通貨やモンスター、NPCのAIも全てカーディナルが制御しているのだ。
ただ一つだけ、カーディナルは・・・人間の精神性によるトラブルだけは管理出来なかった。そこで・・・

「・・・カーディナルの開発者達は、プレイヤーのケアすらもシステムに委ねようと、あるプログラムを試作したのです。ナーヴギアの特性を利用して、プレイヤーの感情を詳細にモニタリングし、問題を抱えたプレイヤーのもとを訪れて話を聞く・・・《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》MHCP試作一号、コードネーム《Yui》それがわたしです」

「プログラム・・・?AIだっていうの・・・?」

アスナが掠れた声で言うと、ユイは悲しそうな笑顔のまま、頷いた。

「プレイヤーに違和感を与えないように、わたしには感情模倣機能が与えられています。・・・偽物なんです、全部・・・この涙も・・・ごめんなさい、アスナさん・・・」

・・・俺はソフィを思い出していた。彼女も、俺達とは違うと、自分は人間じゃないと・・・そう苦悩していた。

「AIに・・・記憶喪失なんて・・・あるの?」

咲が聞くと、ユイが説明していく。曰く、カーディナルがユイにプレイヤーに対する干渉を一切禁止したのだ。それによりユイはモニタリングだけを続けた。そこにあったのは恐怖、絶望、怒りといった負の感情・・・役割を果たせず、義務があるのに権利がない矛盾した中でエラーを起こしていき、ユイというプログラムは崩壊していった。そんな時だった。


「ある日、いつものようなモニターしていると、他のプレイヤーとは大きく異なるメンタルパラメータを持つ二人のプレイヤーに気づきました。喜び・・・安らぎ・・・でもそれだけじゃない・・・この感情はなんだろう、そう思ってわたしはその二人のモニターを続けました」

その二人がキリトとアスナ・・・そうだったのか。

「(俺や詠達にそう言ったのがなかったのは・・・)」

「(多分、亞莎達はプログラムだから・・・きっと)」

二人に何の脳波パターンがあったのかは既に理解していた。きっと俺らも感じたことのある感情だろうから。

「キリトさん、アスナさん・・・わたし、ずっとお二人に・・・会いたかった・・・森の中で、お二人の姿を見た時・・・すごく、嬉しかった・・・おかしいですよね、そんなこと思えるはずないのに・・・わたし、ただの、プログラムなのに・・・」


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